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どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

 

日本のプロ野球からメジャーリーガーとなった野茂投手とイチロー選手。

それぞれ「トルネード投法」「振り子打法」と、名前が付く独特のフォームを持っています。

私は野球にあまり詳しくありませんが、なんとも特異なフォームだなと感じながらも、というかむしろ特異なフォームだからこそ、胸の空くような三振に討ち取る姿やヒットを打つ姿にヒーロー然としたイメージを重ねて観る事が出来ました。

 

「トルネード投法」や「振り子打法」このように名前が付いているのは、お二人がプロとしての結果を出しているからこそ付いた名前で、それ以前の野球のセオリーで見ればこのお二人のフォームは、いわゆる「異端」です。

少年時代からプロになるまでの間に、少なくとも何度かは監督やコーチからフォームの矯正を指示されたはずです。

当時の監督・コーチにしてみれば、彼らのフォームは「おかしな投げ方・打ち方」「間違った投げ方・打ち方」に見えた事でしょう。

そのフォームが何故おかしいのか、きっと理由も添えて説明できたでしょうし、その理由は少なくとも今聞いてもまともな理由に聞こえると思います。

 

しかし結果的に彼らはフォームの矯正を受け付けませんでしたし、逆にそれを武器に結果を出し、プロとして頂点に登り詰めます。

投手として、打者として、同じ成績の他の選手よりもこの二人の方が強く印象に残る理由の一つは、間違いなく名前が付く程独特なフォームに拠るものです。

 

お店や売り手の個性は、個性とステレオタイプのせめぎ合いで生まれる

さて私達商売人は、自分の商品、自分のお店、自分の接客、などの全てにおいて、まず最初に「らしさ」というものを演出しようと考えます。

あなたが営業マンであれば営業マン「らしさ」、あなたが喫茶店を開くのであればお店に漂う雰囲気は喫茶店「らしさ」、鮮魚を売っているのであれば挨拶も元気で快活な魚屋「らしさ」、あなたが考える「その職業人らしい雰囲気や立ち居振る舞い」、そして何よりお客様が考え求めているであろう「その職業らしい雰囲気や立ち居振る舞い」になるよう演出します。

 

しかしその一方で、その「らしさ」を追求すればする程、あなたの商品やお店の雰囲気は、同じジャンルの商売をする同業他社の商品やお店の雰囲気に近付いていく、というのも事実です。

一言で言えば、「いかにもありがちな」状態に近付くという事です。

 

もちろんお客様も「らしさ」に価値を求めて集まりますので、そういう事を止めてしまえという事ではありません。

しかし、意図した「あなたらしさ」「あなたがわざわざその商売をする意味」をどこかで表現する必要はあります。

 

あなたのインド好きが高じて「まるでインドでお茶してるみたい」とお客様に感じてもらえるようなチャイショップを開くのであれば、何も考えずにただひたすらインドらしさを追求すればいいと思います。

その場合は「らしさ」があなたの商品のコンセプトですし「あなたがわざわざその商売をする意味」とも一致します、「まるでインドに居るみたい」と思われる事にお店の存在価値があるわけです。

 

しかし世間が考える「その業種らしさ」を、完コピする事が売上向上の必須条件になるような仕事は、実のところ私達が考えているよりもずっと少ないといえます。

にもかかわらず、「営業マンといえば・・・」「喫茶店といえば・・・」「すし屋といえば・・・」と、お客様がイメージする「らしさ」を、実は買い手よりも売り手が過剰に求めてしまいがちです。

「営業マンとして恥ずかしくないような」「喫茶店だから落ち着いた雰囲気で」「すし屋だから威勢よく」お客様が先入観から求める「らしさ」は確かに存在しますし、それを押さえておかないとマイナスになる事もあります。

敬語を使えない営業マンや、死にそうな声のすし屋がマイナスイメージになるのは当然です(笑)

しかし、お客様の先入観に応える為にどれだけ「らしさ」を追求したところで、それが「営業マンらしい営業マン」「喫茶店らしい喫茶店」「すし屋らしいすし屋」という枠組みから抜け出る事はありません。

「らしさ」を追求するという事は、ある意味では「型にはまってしまう」という事、言い換えれば「没個性、あなたらしい個性を殺してしまう事」になり得ます。

「あなた」が、わざわざ営業マンでいる意味 「あなた」が、わざわざ喫茶店のマスターでいる意味 「あなた」が、わざわざすしを振舞う意味、それをお客様は見出せなくなるわけです。

 

その業種らしさだけを追求する手法は、詐欺師と同じ

コンセプトと言う「あなたがわざわざその商売をする意味」を持たずに、またはお客様にきちんと提示せずにその商売「らしさ」を追及してみせるという事は、誤解を恐れずに例えるなら、その手順は「詐欺師」のプロセスを踏もうとしているのと同じです。

「詐欺師」

例えば、結婚詐欺師は財閥の御曹司に見られる為に、身なりを整え、会話の端々に育ちの良さと金銭的な豊かさを匂わせる単語を散りばめます。

オレオレ詐欺では、たまたま最近携帯を変えたあなたの息子が、あたかも不慮の交通事故で慰謝料を求められているかのようになりきります。

一言で言えば彼ら詐欺師は、個性や目立つ部分を完全に殺して、万人が考える「らしさ」を徹底的に追求しているプロなわけです。

「いかにもありがちな」財閥の御曹司、「いかにもありがちな」誰かの息子のような演技をしているんです。

「あなたらしさ」を提示せず、単なる「らしさ」だけを追う商売人との違いは「実は詐欺ではない」というだけの事で、追いかけた先にあるのは「いかにもありがちな」職種があるに過ぎず、そこには同業他社との違いは全く見受けられません。

 

今は大阪市長になっている橋下弁護士は、テレビのバラエティ番組に出演し出した頃「茶髪の弁護士」と呼ばれていました。

当時からテレビでの発言が話題になったりしていましたが、「茶髪の弁護士」という立ち位置でなければその扱いはもっと小さかったのではないかと思います。

弁護士にようにお堅い職業の人は髪を茶色に染めない、という世間一般のイメージから外れるからこその呼び名でしょうし、橋下さんがもし一般人だったとしたら、そのままの風貌で弁護士として詐欺をはたらく事は難しいかもしれません。

弁護士っぽく見えないんですから当然ですよね(笑)

裁判を起こそうと弁護士事務所を訪れた時に、若くて茶髪のチャラい弁護士が出て来たら保守的な人は嫌がるだろう、そう考えて弁護士として独立する人は、たとえ大学時代に茶髪だったとしても「弁護士らしさ」を考えて髪を黒く戻すでしょう。

 

他の誰でもない、あなたが商売に参入する意味をお客様に知らせることが、お店の個性になる

「らしさ」の中から、あえて何かを捨てて「あなたらしさ」を入れる事で、あなたの「個」が際立ちます。

それが茶髪なだけではたぶん無理ですが(笑)「あなたらしさ」が同業他社との違いとして認識され、お客様に「あなたがわざわざその商売をする意味」を提示できるようになります。

 

「その職業の人らしく」ある事と「あなたらしく」ある事、何があなたのウリや個性になるのかを考えて、あなたの「顔」が見えなくなる邪魔な「らしさ」は、勇気を出して追いかけないでいる事も検討してみましょう。