バイトテロを生み出さない為にも、アルバイトの位置付けと従業員教育制度を見直そう

従業員がtwitterなどにアップした軽はずみなおふざけ写真が引き金となり、謝罪問題に発展したり閉店に追い込まれる、いわゆるバイトテロと称される事例が多発していますね。該当する従業員の多くが正社員ではなくアルバイトなのはいったい何故でしょうか。正規雇用社員とアルバイトの社会的な位置付けの差が引き起こす店舗運営上の問題についてお話します。

 

所詮はアルバイト、という労使共通の認識

会社やお店が正社員ではなくアルバイトやパートを使う理由、これは端的に言えば、雇い主にとって「都合がいいから」に他なりません。具体的には、社会保険料などの無駄な出費を出さないで済む、時給などの給与短単価を安く設定できる、忙しい時間帯や季節など細切れの不足時間を埋める事ができる、などが挙げられます。店舗運営上このようなメリットが得られる為、人的資産の一部をアルバイトという雇用形態で補う事でやりくり出来ているというのが実情です。

また一方、本業や学業、家事の合間に短時間・短期間だけ働きたい、フリーターとして縛られず自由に働きたいなど様々な理由で、アルバイトやパートという待遇での勤務を希望する人達も存在します。会社やお店の都合でアルバイトを募り、個々の生活リズムの都合でそれに応募する、お互いが望む勤務頻度や勤務時間の一致により雇用契約を結んでいるわけですね。

このようにアルバイトやパートは、本来は雇い主の経営戦略上のニーズから存在している雇用形態のはずなのですが、一部の雇用者は彼らを「都合よく扱っていい、お手軽な人達」だと錯覚して雇用しています。アルバイトやパートは正規雇用社員に比べ、採用手続き簡単、給料簡単、保障簡単、勤務時間簡単、仕事内容簡単、雇用条件さえ合えば誰でも出来る簡単な仕事をさせているのだと誤解しています。

同様の誤解は労働者側にも存在し、アルバイトやパート自身も、というか広く世間一般の認識として、アルバイトという位置付けを軽視する風潮が広まっています。「どうせアルバイトだし」「たかがアルバイトだし」という、半ばあきらめやさげすみすら感じるこれらの言葉は、経営者からはもちろん、正社員やアルバイトに対してヒアリングを行っても度々耳にします。正規雇用社員に比べて雇用条件がフレキシブルなだけだったはずのアルバイトが、いつの間にか「正社員ほどは、頑張らなくていい仕事」という認識になっています

 

非正規雇用にこそ充実した教育を

社員スタッフとアルバイトスタッフ、実際に店頭で接客を受けるお客様にとっては、どちらも自分の相手をしてくれる「お店の顔」である事に変わりはありません。限定された仕事内容、限定されたパートタイムだからといって、接客業として理解しておくべき内容や心構え、店舗の経営方針や会社としてのビジョンの伝達までを簡単に済ませてしまっていいわけはありません。

ところが、実際には同じ現場で働いている正社員とアルバイトが受ける研修は、その量も質も投資金額も大きな差があります。社員は会社の理念やミッションなど、様々な事柄を社員研修などを通じて学ぶ機会が与えられるのに、アルバイトはぺらっぺらの接客マニュアル一枚で済まされている店舗は少なくありません。お客様に笑顔で挨拶する事が、なぜお店が儲かる事につながるのかという話を、社員は研修で知る機会があるのに、アルバイトが渡されるマニュアルには「お客様には挨拶しましょう!」としか書かれていないわけです。

例えば正規雇用社員10人とアルバイト10人に、組織の理念やビジョン、お店とお客様の関係性などのモチベーション教育をしたとして、どちらに浸透までの時間が掛かるかといえば、現状では圧倒的に非正規雇用のアルバイトです。何故なら、ベースとなる帰属意識にそもそも差があるからです。

帰属意識が高い人のほうが、会社のビジョンや仕事の意義を伝えても単純に理解度が高いのは当然です。帰属意識がもともと低い人に啓蒙教育を行うのなら、帰属意識を高める為の意識付けも行いながら、同時に仕事の意義や会社のビジョンを伝えていかなければなりません。アルバイトの人材育成教育は、社員と同等またはそれ以上の工数をかける必要があるにもかかわらず、現実は真逆の環境になっている企業が多いわけです。

平均勤続年数が長い正規雇用社員さえしっかり教育しておけば、トップダウンでアルバイトには内容が伝達されるという目論見もあるのでしょうが、簡単な雇用条件で入って来る人ほど、その後の教育には投資の必要があるという認識は必要なのではないかと思います。重ねて言いますが、お客様にとってはアルバイトも社長も同じ「店の人」でしかありません。では一番お客様に接する機会の多い最前線に位置するアルバイトにこそ、一番いい啓蒙教育をしてあげなきゃマズイでしょって事なんです。

 

枝葉の接客業務ではなく、商売の本質を教えよう

人材育成には相応のコストがかかりますよね。一日でも早く従業員を戦力化する為に、作業として接客業務を教えるお店は多いですが、大切なのはその作業を行う意味や意義も併せて教える事です。「お客様が入店したら元気に『いらっしゃいませ!』と言いましょう」というのは作業の指示でしかありません。その元気ないらっしゃいませがお客様に及ぼす影響や、その結果としてお店が得たい到達点まで教える事に意味があります。

接客での立ち居振る舞いがお客様に与える効果、その効果がお店に及ぼす影響を考えない従業員は店に立たせるべきではありません。最低限の接客用語や手順を覚えれば作業としての接客は可能ですが、作業は所詮枝葉に過ぎません。枝葉である作業と同時に商売の軸となる幹を育てる手間をかけないと、お店の顔には育たないんです。

昨今ニュースを賑わすバイトテロは、アルバイトの採用基準を誤った為に起こったのではありません。雇用者が採用後の教育を怠った為に起きたんです。考えの浅い軽はずみな悪ふざけを実行に移す原因は、個々のモラルの低下によるものよりも、帰属意識の低さや接客業への認識の甘さを是正出来なかった人材育成制度の不備によるところが大きいと判断できます。

 

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