マニュアルを超える接客サービスを行うお店を創りたいなら、まずはスタッフがお客様に関心をよせる風土を作ろう

どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

 

商売は、その日その日の売り上げを立てることで成立します。

なので私たちは、日々来店するお客様に対して、目の前の商品を購入して頂く為の接客対応を行っています。

しかし、私たちが商売をする目的は決して「今日、目の前の商品を誰かに売って日銭を稼ぐこと」ではありませんよね。

今日売る、明日も売る、あさっても売る、来週も売る、来月も売る、来年も売る、昨日来たお客様にも売る、先週来たお客様にも売る、先月来たお客様にも売る、去年来たお客様にも売る……。

地域や商圏内に住む限られた人口の中から、更にあなたのお客様になる人を見つけて集め、その方々に何度もリピートしてもらえる状況、すなわち「売り続ける環境」を構築することが商売の目的です。

カンタンに言うと、ず~~っとお客様に来店し続けてもらいたいわけですな(笑)今の商売を今の場所で続けたいわけです。

 

サービスマニュアルは、所詮はガイドラインでしかない

お客様が「この店で買いたい」と思い続けるお店を創る。

その為に、私たちに出来ることはたくさんあります。

お客様が欲しいと思う商品を揃えること、お客様にとってわかりやすい売り場を作ること、店内をお客様が快適に過ごせる空間にすること……

どれも手を抜いてはならない大切な要件ですが、お店の印象を作る土台となる、永く支持され愛され続けるお店の鍵を握るのはスタッフによる接客サービスであることは間違いありません。

スタッフがお客様とどのように関わるか、どのように接するかは、お客様の「どこで買いたいか」「誰から買いたいか」を決定づける非常に重要なファクターですし、人的サービスの良し悪しは「お店がお客様に選ばれる理由」に直結します。

 

アルバイトスタッフを多く雇うお店であれば、安定した接客サービスを提供する為にマニュアルを用意しているお店も少なくないでしょう。

A4用紙一枚で納まるものから冊子になったものまで、お店によって様々な種類のサービスマニュアルは存在します。

 

何をするにもガイドラインは必要ですので、行動を規定するマニュアルは当然あってもいいものです。

お客様が来店したら目を見て「いらっしゃいませ」と言いなさいと記載したマニュアルもあれば、お食事が終わったタイミングでお茶を出しなさいと記載したマニュアルもあるでしょう。

もちろん私がお客として行った時もそうして欲しいです(笑)マニュアルに記載したおかげで食後のお茶を出してもらえるのなら全然それでいい、マニュアル万歳です。

しかし、マニュアルはどこまで詳細に書かれていたとしても所詮はガイドライン、言わば作業手順書ですし、店舗管理者は間違ってもそれ以上の価値をマニュアルに求めてはいけません。

なぜなら、サービスマニュアルにどれだけの情報が載っていたそしても、お店に来るすべてのお客様に対応するには「情報が少な過ぎる」からです。

 

「サービスマニュアルを超えるサービスを提供する!」なんて当たり前のコト

手順書としてのサービスマニュアルは必要でしょう。

「こんなコトまで書かなアカンのか!?」というぐらい(笑)一般常識を期待出来ない、若年層をスタッフに迎えるならなおさらかもしれません。

しかし、サービスマニュアルに書かれたことがお店で必要なサービスのすべてではありませんし、どれだけ行動を事細かにマニュアルで規定しマニュアルのボリュームを増やしたところで、お店で行う接客サービスのすべてにはなり得ません。

むしろサービスマニュアルは、ガイドラインというより「ボーダーライン」と考えたほうが適切なのかもしれません。

どんなにボリュームを増やしたところで、あくまでも接客の手順を間違えない為のサービスマニュアルですし、お客様に対して失礼な接客対応にならない「最低限のルール」を書いたものでしかないからです。

 

どれだけケーススタディを充実させてサービスマニュアルのボリュームを増やしても、お客様の行動が100%マニュアルに記載したパターンにマッチするわけがありません。

広辞苑みたいにパンパンに膨れ上がったマニュアルを、ヒーヒー言いながら丸暗記したところでイレギュラーは必ず発生します。

マニュアルに載っていないイレギュラーは、結局お客様を見ながら対応していく以外にないんですよね。

それがサービスマニュアルの限界。

「マニュアルを超えるサービスを提供する」なんてフレーズは実際アチコチで耳にしますが、サービスマニュアルに関しては超えなきゃならない状況が生まれて当たり前ですし、最初からスタッフたちが超える前提でマニュアルは編纂されなければ、正しい運用なんて出来ないんです。

どんなに細々と規定したルールや、シチュエーションごとの対応方法をマニュアルに載せたところで、サービスマニュアルは所詮ガイドラインでありボーダーライン。

だとすれば「マニュアルを補完する為に何を教育するのか」が、お店の人的サービスの質を決定し「お店がお客様に選ばれる理由」につながると言えるわけです。

 

経営者や店長以上に、お客様のことを大切に想うスタッフは生まれない

最初からスタッフたちが超えるという前提でサービスマニュアルを作るのですから、記載する内容は本当に最低限のルールで充分です。

むしろ、そうしないと「マニュアルがすべて」という風土をお店に作ってしまい、スタッフの感性を鈍らせ、機械的で応用力の乏しい人材をあなた自身の手で育ててしまう危険が高まります。

お客様から「お白湯をください」と言われた時に、言われた通りポットのお湯をそのままカップに入れて渡そうとするスタッフと、薬を飲んだり粉ミルクを溶かそうとしている可能性を考えて、最適な温度のお湯を渡そうとお客様に一声かけるスタッフ、単純にどちらのタイプのスタッフに育って欲しいですか? という問題なんです。

 

サービスマニュアルを補完し、それを超えるスタッフを育てる為には、まずマニュアル云々以前に「お客様という存在に関心をよせる、興味を持つ」というお店全体の風土作りが必要です。

お客様が何度も足を運んでくれないと私たちの仕事は成立しない、という基本的な認識に始まり、お客様が来店し、満足して再度ご来店頂く為に出来ることをスタッフ一丸となって行うという絶対的な価値観と行動指針が、お店全体に空気の如く当たり前に存在するお店。

この風土は、経営者や店長など、いわゆる「上の人間」自身が体現していることが成立の前提条件です。と同時に、それ以外に成立する理由がない絶対条件です。

オーナーや店長が折に触れ、お客様を大切に想っていることを言葉や行動で示すからこそ、それを当たり前とする風・環境は作られていきますし、今お店がそうなっていないのだとしたら、オーナーと店長の伝える熱量と努力が圧倒的に足りていないか、そもそも彼らはお客様を大切に考えていないかのどちらかです。

私としては、後者ではないことを切に願いたいところです(笑)

 

お客様に対する関心さえあれば、誰だって努力せず最高の接客ができる

スタッフがお客様に関心をよせるようになると、お客様とのコミュニケーションの質が変わってきます。

来店したお客様に挨拶し、商品を選んで購入して頂くというシンプルなやりとりの中でも、スタッフは言葉や表情に気持ちを乗せ、お客様の言動に対して心を配るようになります。

「いらっしゃいませ」という言葉ひとつ取っても、マニュアルで決められたフレーズを発するのがゴールだと教えられたスタッフとは、明らかに立ち居振る舞いが違ってきます。

それは「いらっしゃいませ」という言葉をただ発するだけの挨拶から、来店してくださったことへの感謝の気持ちや、また来て下さったうれしい感情が乗っかった挨拶へと変わるからです。

 

こういう応対って、長年働いているベテランスタッフにしか出来ないと思いがちですが、そんなことはないんですよ。

何のトレーニングもしてなくても、久しぶりに会う友達が家に来たときに出る「いらっしゃい!」って、誰が聞いてもうれしい気持ちが言葉や表情に表れていますよね?

何のトレーニングもしてなくても、赤ちゃんに赤ちゃん言葉で話しかけたり、幼児としゃべる時には自然としゃがんで目線を合わせようとしませんか?

これって、私たちが無意識に相手に伝えよう、相手に合わせようとしている証拠なんですよね、スゴくないですか?

相手に対する関心さえあれば、誰だって優しくなれるし、誰だって親切になれるし、誰だって相手の気持ちに寄り添うことができるし、誰だって相手の心情を推し量ることができるし、誰だって相手が喜ぶことをしてあげてもいいなって思うんです。

誰だって無意識にできるくらい、実はカンタンなことなんです。違いは私たちが相手に関心を持っているかどうかだけ、仕事かプライベートかの違いではなく、お客様という人種に興味があるかどうかの違いです。

 

サービスマニュアルを超える接客を行うお店を作りたいのなら、まずはお店とお客様との位置付けを全員で共有し、経営者以下、スタッフ全員がお客様に関心をよせるという風土を作りましょう。

「いらっしゃいませ」と言いなさいと言われてるからやってます!みたいなスタッフだらけのお店が、お客様の来店動機を作ることはどう考えても無理ですよね?

お客様にどんな気持で過ごしてもらえればいいのかを、スタッフ個々が明確にイメージし、そうなるよう考えて行動に移しているお店を作らないと、そこから「お店がお客様に選ばれる理由」は生まれません。