人が育つ評価基準の導入で、ノウハウが蓄積・継承される人材育成の仕組みを作ろう

人が育つ評価基準の導入で、ノウハウが蓄積・継承される人材育成の仕組みを作ろう

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どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

 

正社員であろうとアルバイトであろうと、人を雇う以上は仕事に対する高い意識やこころざし、技術やノウハウを身につけてもらいたいと誰もが思いますよね。

営業、接客対応、事務や経理などの様々な部署で、適正や資質はもちろん、職務のスキルに関して望む基準は明確にお持ちだと思います。

チームの一員となったすべての従業員には、学んだ知識や経験を存分に生かして商売を盛り立てて欲しい、経営者であれば誰でもそう願っているはずです。

 

ところが、従業員同士による知識や経験のシェアは、個々の裁量だけに任せていると思わぬ事態を招くことになりかねません。

当然周知されているであろうはずの情報が、実はまったく現場の従業員たちに広まっていなかったり、ある特定の従業員しか知らない情報が山ほどあるという事実に、彼が退職した後で気付くはめになり愕然としたり(笑)

特に後者の場合は、それが営業職の顧客情報や営業ノウハウに関するものだったり、製造現場での職人レベルに高度な技術だったりすると、経営が傾く可能性すら秘めています

 

目次

新人の成長を願っても望んでもいない教育担当が、組織には存在する

一例としてですが、今から「人間としての器がちっちゃいヤツら」の話をします(笑)

 

本人の努力やトレーナーの情熱のおかげで立派に成長した優秀な従業員、または前職で既にそのスキルを身につけていた従業員の中には、なぜか身につけたスキルを部下や同僚に教えたがらない人が現れます。

教えるのが苦手という意味ではなく、出し惜しみするということです。

教えるように指示を出しても、決して持っている知識や経験のすべてを教える事はなく、マニュアルに載ってるような初歩的で最低限の仕事のやり方こそ教えるものの、経験で培われた「肝」と呼べる重要な部分は出し惜しみする、という感じ。

私の知る限りでは、特に職務の守備範囲が狭く、事実上の専門職と言ってもいいパート・アルバイトさんや職人さん、しかもベテランに属する人たちに多く見受けられます。

 

前述のように、この状況が生まれる原因の多くは、他人に何かを教える事への苦手意識から来るのではありません。

自分だけが出来る仕事、自分だけが知ってるノウハウを保有する事で、自分自身の「居場所や立ち位置」をキープしようという気持ちが働くからです。

「俺がいないと、この店は回らない」

「この業務は、私にしか出来ない」

「私が誰よりも上手く出来る」

自分にしか出来ない業務、自分が一番上手に出来る作業を、新人はもちろん同僚が上手く出来るようになれば、自分の存在意義がなくなるような恐怖感があるわけです。

抜かれたくない、負けたくない、存在感や居場所を失いたくない、新人の成長なんて実はまったく望んでないんです。

 

「なんとも器のちっちゃい奴らですな、ワッハッハ!」

このテの話をすると、たいていの人はこういう反応を示します(笑)

まあ確かに、セコくて肝っ玉のちっちぇ~奴らです。

 

しかし、この「出し惜しみたくなる心理状態」自体は、決して特殊なものではありません。

それどころか、このような振る舞いを無意識に行なう経営者すら存在します。

しかも、これが決してレアケースと呼べないくらいの、けっこうな比率で存在するんです。

 

社長、あなたもですよ! 知識や経験を職場でシェアしない従業員の放置で起こる、致命的な経営リスク

誰かに認められたい、他人よりも優位な立場に立ちたい、居場所を奪われたくないという意識は、おそらくほとんどの人が多少なりとも持ち合わせている感情や感覚だろうと思います。

事実はどうあれ、彼らは自身の努力で仕事の腕を磨いたと自負していて、しかもそれによって、会社やお店などの組織から相応の評価を受けてきたと感じています。

そんな彼らにしてみれば、せっかく自分が手に入れたスキルを、今までたいした努力もしていない(ように見える)同僚や新人にあっさり教えるのはしゃくに障るわけですね。

アイツらにコレ教えたら、オレより楽して評価されるコトになるジャン! 何ならオレより有能ってコトになるジャン! みたいな感覚。

オレは階段登って10階まで来たのに、なんでアイツらをエレベーターに乗せてやらなきゃなんねーの!? ひょっとしたら12階まで行っちゃうかもジャン! という別の例えもありますが、まぁどっちでもいいです(笑)

 

経営者でも同様で、たとえば口癖のように部下の悪口やグチを、社外の人間に言ってる社長さんは、コレに該当することが多いという印象があります。

彼らに自覚はまったくありませんが、「社長スゴイ」「やっぱ社長がいなきゃダメですよね」って言われる環境を保持したいという強烈な欲求が、後進や後継者の育成を阻んでいるとしか思えない光景を見かけます。

 

まあ所詮は劣情です(笑)心の狭さやセコさは拭い去れません。

ですが、こうした劣情まみれでいびつな自己顕示欲を野放しにすると、様々な問題が発生します。

 

まず、どう考えても人が育ちませんよね(笑)

「自分より成長しては困る」と思ってる人が、上司やトレーナーなわけですから当然です。

「何でもアタクシから盗んでごらんなさい! けどあなたがそれをマスターした時、アタクシはもっと先に進んでいますことよ! オッホッホ!!」

こんな感じの「イキな切磋琢磨」をするのではなく(笑)決定的に能力差が埋まるような核心部分は「教えない」「コキおろす」という必殺技で相手との能力差を保持するんですから、そりゃ生産性なんて上がりませんよって話です。

 

次に、知識や経験が職場で充分にシェアされない為、職務に関するノウハウが組織内に蓄積・継承されなくなります

基本的に同じ職務の人間が複数いる職場なら、彼らの仕事に関する知識や経験は共有されたほうが生産性は高くなりますよね。

たとえばレストランにウェイターが5人在籍していたとして、ある常連さんの好みを察知したA君がその知識を残りの4人にシェアすれば、どのウェイターが勤務していてもその常連さんを満足させることが出来るようになりますし、その知識はお店の貴重な顧客情報、すなわち財産となります。

もしA君だけが情報を独占していれば、A君は常連さんに気に入られますが、残りの4人はただの「気の利かない人たち」です(笑)

A君が退職すれば、最悪の場合は常連さんもお店を去ってしまいます。

冒頭にも書きましたが、これを社内トップの営業マンや職人がやったら、経営そのものが危うくなる可能性もあるわけですね。

既存のマニュアルにはまだ書かれていない、現場の最前線に立つ従業員が実践や経験の末に発見した新しいノウハウが、発見者だけの個人的な利益で終わるか、組織の発展に寄与するくらいの価値をもたらすかの差は、非常に大きいと言わざるを得ません。

 

なんで評価されないの? 人材育成と情報共有の実績を、評価する仕組みを持たない組織の実態

このような状況を生み出す原因は、彼らの個人的な性格によるものだけではありません。

もちろん、彼らが人間としての器がちっちゃくてセコいという事実は否めませんが(笑)原因は組織内の評価制度に起因しています。

会社やお店の評価制度の不備が、彼らのような人種を覚醒させると言ったほうが正しいでしょう。

その原因とは「評価基準の軸が、業務に対する習熟度に偏重している」ということです。

かんたんに言うと、仕事を教えることは評価の対象になっていない、ウェイターのA君が新人さんに仕事を教えても、A君はウェイターとしての実績でしか評価されない、ということです。

 

今日入ったばかりの新人さんは、何の仕事も出来ませんよね。

それが徐々に業務を覚え、その精度も上がっていきます。

少しずつ出来るようになって、やがて一通りの仕事を覚え、その精度も安心して任せられるレベルに達する。

組織はそれを評価します。

「出来ない」ことが「出来る」に変わるからです。

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ほとんどの職場において、受け持った守備範囲の業務が「出来ない」から「出来る」に変わることで、または「出来る」が「上手く出来る」に変わる事で、従業員は評価されていますよね。

役職というランクも上がれば、給料も上がるでしょう。

評価される当人も、今まで上手く出来なかった業務をスムーズにまわせるようになり、しかもそれが周りに評価という形で認められることで、仕事への充実感につながっていきます。

 

ところが、「誰かに仕事を教えるという業務」に対する評価基準を明確に持ち、しかも基準通りに「ちゃんと」従業員を評価している職場はとても少ないんですよね。

トレーナーとか教育担当などの専門職があって、その仕事だけをやっているのなら別ですが、中小企業や個人経営の組織での専任は難しいでしょう。

新人が入った時だけ「にわかトレーナー・にわか教育担当」として教育を任されることがほとんどですし、彼らが評価されるのは教育の内容に対してではなく「本業」に対してだけです。

だって「にわか」ですからね(笑)

新人さんが立派に育てば「ご苦労さん」とは褒めてもらるし、新人さんがミスしたら「ちゃんと教えろ」って怒られますが、それが給料に反映する職場は本当に少ない。

要するに、人材育成という業務に対する具体的な評価基準を、多くの組織は持ち合わせていないわけです。

製造や販売、営業の技術の向上には明確な評価基準があるのに、押し付けられた新人を育てたことに対しての評価基準は組織内に存在しない。

「にわかトレーナー・にわか教育担当」にしてみれば、教育という担当業務は、本業以外の「評価されない仕事」が増えることを意味します。

本業での習熟度でしか金銭や待遇の評価はされない上に、もし新人さんが育ち過ぎでもしたら、教えた自分の居場所がなくなる危険すらあるわけです。

人を育てろとは言われますが、人を育てても評価はされない、しかも本域で成長されたら自分にとっては困ったことになる、もうメチャメチャです(笑)

これじゃ報われませんよね、こんなに大切な仕事なのに評価されないんですから。

 

人材育成教育そのものだけではなく、現場で得た知識や経験のシェアや伝達についても同様ですね。

たいていは「報・連・相」みたいな言葉で済まされています。

積極的にシェアしても「報・連・相って、義務だから!」で終わりです。

こうなると、自身のリスク回避の為に「報・連・相」を活用することはあっても、「知ってる人だけが得する情報」をシェアするかどうかは疑わしくなりますよね。

職場の業績にノルマがあれば尚更でしょう。

 

人材が育ち、ノウハウが蓄積・継承される組織作りに必要な、二つのポイント

これらの問題を解決するポイントは、たった二つに絞ることができます。

 

まず一つ目は、人に仕事を教えるという業務は「一定の条件を満たした、特定の人間だけがする仕事」という認識を、組織から撤廃することです。

誰かに何かを伝える・教えるのに、資格もキャリアも関係ない、息をするように知ってることをシェアする、という社風を作る

 

もちろん「人に何かを教える」という作業には、厳然とした手順も技術も存在しますので、実際に新人さんが入ってきた時には、そういう条件を満たした担当者を用意するのが望ましいのは間違いありません。

ここで言いたいのはそれ以前の問題、仕事で得た知識や経験は「シェアするのが当たり前」という職場の空気、風土を作るということです。

 

実際にそういうシチュエーションになるかどうかは別にして、勤務2日目の新人さんが勤務初日の新人さんを教えたっていいわけですよね、昨日習ったんだから知識はあります。

知ってる人が知らない人に知識と経験をシェアするのが当たり前、知らない人が知ってる人に知識と経験の提供を要求するのが当たり前、という職場環境をつくればいいわけです。

仕事をサボることと、覚えた仕事のシェアをサボることは、どちらも重大な職務規定違反になるというくらいの認識。

何ならみんな、隙あらば誰かに何か教えようと若干ギラギラしてる、ちょっとウザいくらいの空気感が職場にみなぎっているという(笑)

面接や採用の時点で、「あなたの仕事は、業務を覚えて実践することと、覚えたことを惜しみなく職場全員にシェアすることです」という話をし、承認をとるくらいの一貫した気構えで、改革に臨む必要があります。

 

「そんな空気、どうやって作るねん!」

って思ったアナタ、経営理念やミッションなども含め、ツールや制度は組織の状況に応じていくらでも用意できますよ。

しかし、こうしたルールが広まり定着するかどうかを決めるポイントはたったひとつです。それは、

トップである経営者自身が、徹底して実践する姿を見せている

コレだけです!

もしあなたがスタッフに、職場での情報共有がお客様の満足度を引き上げる為に必要だという話を説いても、あなたがしれを実践してないとスタッフが判断すれば決して浸透しません。

説得力ありませんもんね(笑)

ルールはいつもそう、広めたいと思ってる人たちの「熱量」と「率先垂範」で決まります。

くれぐれも、お忘れなく。

 

二つ目は、人材育成という職務を、商品を作る・売るという職務と同等に扱う評価基準を作り、実際にランクや給料の評価要素として反映させる、ということです。

これは、一つ目をただの理想論や綺麗事で終わらせない為にも必要な要素です。

 

やれ人は大切だとか宝だとか、人材が育てばみんなが楽になってハッピーだとか言いますが、そんな話は誰だってわかってます、言うほうも言われるほうも。

実際に、人が育たなきゃ従業員の負担は増えるばっかりだし、既存のお客様も離れていくわけです。

ならば会社として、お店として、営利団体として、人を育てることが商売を継続・発展させる為には必要だというのであれば、人材育成を重視していることを態度に示さないと伝わりませんよね。

言葉だけで人を育てるとか言ってないで、人を育てる為に必要な投資を行ないましょう。

育った人材に対しての評価だけでなく、人材育成に寄与した人をきちんと待遇で評価するということです。

極端に言えば、育てた新人が立派に成長し、トレーナーを超える業績を出したら、新人だけじゃなく、彼を育てたトレーナーも評価されるような風土です。

 

人を育てる価値は、それほどまでに高いわけです。

人材育成に関する組織のイメージは、企業理念などに盛り込まれている会社も多いかと思いますが、経営者が掲げた理念やミッションを実践してくれた従業員を、組織が適切に評価出来ない現実があるのだとしたら、あなたが考える理念の実践は、従業員たちの自己犠牲とやせ我慢の上に成り立っているのかもしれません

個人の能力や技術が向上することと同等に、それを教えたり・広めることも評価される環境、従業員個々が惜しみなく知識や経験をシェアしあい、お客様と組織の関係性向上を全員が願う企業風土を目指したいものですよね。

 

個人の技量に頼る経営から、個々の知識と経験を組織に蓄積・継承する経営にシフトしよう!

知識や経験をシェアする環境になっていない組織、しかもその中で意識やスキルの高い人だけが重要な仕事を任されている組織は、事実上「その人頼み」という危ない橋を渡り続けています。

その人が抜ける事で、業務に致命的な支障をきたす可能性もあります。

積極的に人を育て、積極的に得た経験や情報を仲間と共有する組織を作る為に、あなたの職場に必要な「しくみ」が何かを考えてみましょう。

 

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