ニーズの限界 その2

どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

前回から「シズル感」的販売方法を応用出来ないかという話をしてます、今日はその二回目。

前回に引き続きお茶漬け海苔のCMを例にしましょう、当時の記憶が全く無い若い方々には申し訳ありません(笑)想像しながら読んでください。

茶碗にご飯を盛って、お茶漬けの素をかけ、お茶をかけてハイ出来上がり。

タレントさんが一口食べて「ん~~~~っ!おいすぅいぃぃぃいっ!!」

まぁ、よく目にする調理食品のCMってこんな感じですよね、ちゃちゃっと作ってパクッと喰って美味いと言う、みたいな(笑)

この作り方でお茶漬け海苔のCMを作ると、どちらかというと数ある食品CMの中の「お茶漬け版」を目にしたという印象になります。

「お茶漬けのコマーシャルかぁ」って感じでしょうか。

しかし、タレントさんが汗を掻きながらズルズルハフハフと音を立ててお茶漬けを流し込む姿をテレビ画面に映すと、その音やビジュアルから、

「おいしそう!」

「あ~~、お茶漬け食べたい!」

という欲求が生まれます。

過去に自分がそうやって食べた記憶が蘇り、臨場感が湧いてきます。

過去においしくお茶漬けを食べた記憶があるので、この場合の「おいしそう」は只の想像ではなく、「おいしいよね、それ」「おいしかったなぁ、あれ」という思い出の共有です。

日常的にお茶漬けを食べる習慣が無い人も、このCMを見た瞬間に、おいしかった思い出を再現したくなります。

そう、ここで「見込み客」に変化するわけです。

わずか15秒のちょっとした「刺激」によって、いつもは理詰めでコストパフォーマンスを追及している人達の「天秤」が狂ってしまう。

普段は理性的な判断で買い物をしている人が、突然「感情」に流される。

では「心の天秤」は壊れてしまったんでしょうか。

実は「天秤」自体はどこもおかしくありません、天秤に載せる「分銅」がおかしくなるのです。

「品質」という分銅、品質を判断しようという感覚が一時的に狂ってしまうんです。

「おいしそう」「良さそう」などの「○○そう」の部分、これが品質判断を誤らせています。

消費者の心というのは、元々微妙に揺れ動いているものです。

それを自分で律し、予算の中での買い物に失敗しない為に、言い換えれば「少しでも良いもの、しかも出来れば安いもの」を購入する為に自分自身が心に作る価値基準、それが「コストパフォーマンスの追及」です。

基本的には値段と品質、その他に嗜好などの要因を加味した上で比較検討し、「買う」「買わない」の判断をします。

しかし、そこに事実ではない情報が入ります。

その情報とは、「おいしそう」「良さそう」などの「○○そう」です。

「おいしそう」というのは、「事実」ではありませんよね。

「良さそう」「楽しそう」なども、「事実」ではありません。

「おいしそうに見える」「良さそうに見える」と判断した事が事実なだけで、実際に「おいしい」のか、本当に「良い」のかはあくまで想像です。

想像というより、「思い込み」「錯覚」、もっと悪く言えば「妄想」に近いです。

その想像を、まるで正確な情報かのように錯覚して判断し、「品質」の分銅を重くさせるんです。

「欲望」が「必然」に変わる瞬間です。

ただのお茶漬け海苔が、自分の欲求を満たす為になくてはならない必需品に感じられてしまうわけです。

本来必要では無いモノなのに、錯覚してニーズを感じてしまうんです。

消費者としては日常生活で当たり前のように起こる現象ですが、モノを売る私達商売人にとって、これは凄い事です。

この「シズル感的錯覚」を、あなたが扱う商品で提示できれば、それはあなたにとって起爆剤になるかもしれません。

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あなたが売っている商品に関して、お客様が「○○そう」と言うであろう言葉を考えてみましょう。

その言葉を突き止めれば、あなたのお客様に購入というスイッチを入れるきっかけを作る演出が可能になります。

○○の部分を強く感じさせる演出を施した広告活動を考える事ができれば、意外な新規客を見込めるようになるかも知れません。

たとえば、エステなどの広告は、主に「綺麗になりたい」という願いを持つ女性を対象に広告をします。

あなたがいかに美しくなれるかをアピールするモノばかりです。

しかし、例えばメニュー中の一つである痩身マッサージにフォーカスし、痩身効果だけでなく「施術そのものが身体がほぐれて気持ち良い行為」である事を伝えると、本来エステ自体には何の興味も無かった、ただのマッサージ好きが「気持ち良さそう」と感じて来店して下さるかも知れません。

この瞬間、「マッサージして貰えて、その上痩せるのなら」って考えたお客様の分銅は狂ってしまったわけです(笑)

極めて品の無い例えで恐縮ですが、性産業の商品などはほとんどがそうです。

例えばAV、思春期真っ只中の青少年の為だけに販売されているわけではありませんよね(笑)

購入したりレンタルしたりダウンロードしている主力の客層は成人ですし、その中には彼氏彼女などパートナーがいる男女も数多く含まれています。

大人の世界を覗き見したい成長期の少年でもない、成人した後の男女がなぜAVを観るのかを端的にザックリ言うと、その中で行われている事が気持ちいいという事を経験的に知っているからです。

パッケージの説明や画像を見て「気持ち良さそう」だと心や身体が反応するからお金を払うわけです。

もし年端もいかない子供が何かの間違いでその映像を目にしてしまったら、多くの子はそれを「気持ち悪い」と感じるでしょう。

この違いが生まれる理由の多くは、動物としての本能や成長以外の部分で言えば、映像を観て呼び覚ませる経験の有無が関係しているという事です。

「シズル感」で表現するのは、「事実」や「スペック」ではありません。

焼肉の「タレ」の宣伝では、焼いた肉をタレに付けて食べるシーンよりも肉そのものをジュージュー焼いているシーンに反応します。

キンキンに冷えたビールでゴクゴク喉を鳴らせているのは、あなたではなくタレントさんです。

しかし、それを観たら焼肉をタレに浸して食べたくなりますし、ビールで「プハァ~」と言いたくなります。

お客様があなたの商品に対して、過去の経験をベースにしたポジティブな想像を膨らませる事で、「欲しくてしょうがない」という衝動を突き動かす事が出来るかもしれません。

それはスーパーマンの映画を観て「空を飛んでみたいなぁ」という、ただのあこがれよりもずっと強力な動機になるでしょう。

ニーズやスペックだけではない、シズル感を始めとする「イメージ暴走戦略」(笑)を積極的に取り入れる事が出来ないかを考えてみましょう。

この続きは次の号で。

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