観光資源の乏しい地方自治体が、地域振興の一環として観光名所を生み出す方法

観光資源の乏しい地方自治体が、地域振興の一環として観光名所を生み出す方法

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アニメの舞台となった街を訪れる「聖地ツアー」で観光客を増やそうとする動きが活発です。アニメの舞台となった日本各地の地方自治体と連携し、国内外の熱心なファンを集める観光資源を生み出すことで、地域振興につながると期待されています。観光資源の乏しい地方自治体が、待ちから攻めに転じるヒントがここにありそうです。

目次

「モノ消費」から「コト消費」へ、観光客がそこに行く理由が変わりつつある

『出版大手KADOKAWAや、飲食店検索サイト大手ぐるなびなどが9月、それぞれ「アニメの聖地巡り」や「食と温泉」をテーマに観光振興を図る団体を旗揚げした。国内経済を一時うるおした中国人客の「爆買い」が陰る中、人気が高い日本のソフトパワーを前面に打ち出すことで、長期的な集客力につなげることが期待される。
産経ニュース 中国人の「爆買い」に頼らない! アニメ聖地、食と温泉…訪日客集めに日本の有名企業がはじめた試行錯誤 2016/10/06』

10月19日、観光庁は7~9月の訪日外国人旅行客の消費金額が、4年9ヶ月ぶりに減少したと発表しました。訪日客数は拡大を続ける中で消費金額が減った理由は、爆買いに代表される「モノ消費」から、日本でしか出来ない体験を求める「コト消費」にシフトし始めた為だと考えられています。モノが集中する都会から、観光地を有する地方に観光客が流れるのは、地方自治体にとっては単純に機会点となる可能性がありますが、その為には魅力的な観光資源を保有する必要があります。外国人、日本人を問わず、観光客がそこに行く理由が必要になるわけです。

アニメファンの『聖地巡礼』は、意図的に作れるのか

一般的に観光地は、その土地特有の自然が生み出した環境に由来するもの、土地ゆかりの偉人や史跡、テーマパークなどが多く当てはまります。しかし、自然や史跡はすべて過去に作られたものなので、現代の住民が自らの為に生み出すことは不可能ですし、テーマパークの創設には莫大な資本が必要となります。絶景も史跡も資本も持たない地方自治体は、今ある環境から新たな価値を生み出すことが求められます。

ただの山、川、町並みは、どの地方にも存在します。珍しくない環境をそのまま魅力として伝えるのは、相当に難度の高いミッションです。その点でいえば、アニメの舞台に選ばれファンの聖地として認知されるのは、無から有を生み出すくらいの高い付加価値が付与された状況だといえます。しかし、これは望めば何とかなるというレベルの話ではなく、ほとんど運に近いものです。

たとえば、作品の舞台として取り上げてもらいたいからといって、企画の段階を察知して、脚本の設定に働きかけることは不可能に近いはずです。ジブリの次回作は、ぜひわが町を舞台にしてくれと頼んでも実際には通らないでしょう。地元を題材にした小説や漫画などの作品を丹念に掘り起こしたり、有名作家に個別の働きかけを行うことは決して無駄にはならないでしょうが、その成功率はもはやビジネスとは呼べない博打レベルです。

フィルムコミッションに見る、多ジャンルの映像作品で『聖地』の地位を獲得する方法

メディアで特定の地域を露出することだけで言えば、物語の設定に組み込まれる必要のあるアニメや小説よりも、もっと難度の低いものがあります。それは、実写の映画やドラマのロケ地となることです。自治体や住民が全面的にバックアップするフィルムコミッションを設立し、様々なシーンにマッチしたロケ地の提案を行うことで、幅広いジャンルの作品にクレジットされることが可能となります。

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ただの山、川、町並みは、そのまま提示すればただの山と川と町並みですが、それをどのようなシーンや設定での作品に適しているかという切り口で情報の編集を行い、提案を行うことが可能となります。また、ロケ地として他と大差がないのであれば、あとはどれだけ撮影がしやすいかという協力体制をアピールすることで差別化は図れます。

たとえば、私が現在暮らしている滋賀県は、県住民に滋賀県の観光名所を尋ねても大半が琵琶湖と答えるくらい、名所旧跡を観光資源として発信し切れていない土地です。しかし、フィルムコミッションの積極的なロケーション誘致により、様々な映画やドラマの撮影が行われている為、それぞれの作品の聖地となる場所が多数存在し、観光客の流入に貢献しています。参考までに、滋賀ロケーションオフィスがホームページ上で、無料で行うと謳っているサービスはこれだけあります。

・作品のイメージにあうロケ地の紹介
・撮影に行政庁の許認可等が必要な場合のサポート
・宿泊施設、弁当、運搬、レンタルなどの業者紹介
・エキストラ、ボランティア募集の手伝い
・シナハン・ロケハンの同行、または案内
・ロケ現場への立ち会いと、ロケ先(地元)との調整サポート
・完成した作品(番組)の上映(放送)広報

見ての通り、特殊なサービスは一切行っていません。しかし映画製作者側から見ると、ロケーションにまつわる手間やストレスが、かなり軽減されるであろうことは想像に難くありません。このフィルムコミッションは、県内の自然や史跡を宣伝しているのではありません、ロケーション撮影のしやすさを宣伝しているのです。ひとつひとつの認知度が決して高いわけではない自然や史跡を、ロケ地というくくりで価値を再編集して提示することで、結果的に新しい観光資源を生み出すことに成功している事例といえるでしょう。

観光資源の棚卸と切り口の再編集で、新たな観光資源は生み出せる

フィルムコミッションに限らなくても、絶景や先人が残した歴史的財産が乏しい状況から、新たな観光資源を生み出すことは充分に可能です。それらは決して世界遺産に登録されたり、大河ドラマの舞台になるような破壊力は望めないかもしれませんが、観光客の流入には貢献できます。広島県が「おしい!広島県」というキャンペーンを打ったり、香川県が「うどん県」という別名を掲げた事例は記憶に新しいと思います。

SNSや新興のメディアの台頭で、情報を発信するコストが安価で済むのも追い風です。まずは、今あるすべての観光資源を独自の切り口で編集して見せることで、新しい価値を創造出来れば、あとはメディアとの関わり方次第だと言えるでしょう。一般消費者に、ダイレクトに地域の魅力を伝えるという従来型のアピールを行う前に、あたらしい「くくり」で付加価値を生み出すプロセスを踏むだけで、新たな観光資源を手にできる地方自治体は多いのではないでしょうか。

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