回転すしチェーンに学ぶ、新規顧客の獲得につながる戦略的なメニュー展開と、経営の利益体質改善

回転すしチェーンに学ぶ、新規顧客の獲得につながる戦略的なメニュー展開と、経営の利益体質改善

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ベルトに乗った握り寿司が客席を回るというユニークさとリーズナブルな価格で、これまで敷居の高かった寿司屋をカジュアルな場所へと変えた回転すし。これまでも大手回転すしチェーンは、従来の寿司屋では扱っていないメニューを積極的に取り入れてきましたが、近年はその幅をさらに広げる戦略を採っています。そこにはどのような思惑があるのでしょうか。中小企業・個人事業主の経営にも応用できる、戦略的なメニュー展開についてひもときます。

目次

もはやファミレス! 大手回転すしチェーンの登場が寿司業界に与えた衝撃

大手回転すしチェーンのメニューには、伝統的な寿司業界、いわゆる「街のお寿司屋さん」では考えられないものが並んでいます。定番メニューはもちろんですが、魚介類以外のネタを乗せた握り寿司や麺類、ポテトやから揚げなどのサイドディッシュやデザートまで扱っています。その守備範囲は、寿司屋というよりはファミレスに近い印象を与えるほどですが、ここ数年の大手各社は、その味をさらにオリジナルなものへと進化させています。

『最大手のあきんどスシローは、タマゴで甘エビなどの具材を包んだ「クレープすし」や「オムライすし」など、子供向けの商品を拡充し、首位固めを狙う。ゼンショーホールディングス傘下のはま寿司は、年間50店超もの出店を続け、店舗総数では業界2位のくらコーポを抜いた。2012年に「7種の魚介醤油らーめん」を投入するなど、サイドメニューを拡充してきたくらコーポは目下、業績絶好調。過去最高の純利益を連続で更新している。
くら寿司、「シャリカレー」に託す2つの戦略 東洋経済オンライン2015/08/09』

握り寿司の単価を下げ、庶民が気軽に通える価格帯で販売していることは、回転すしの大きな集客要因にはなっていますが、こうした幅広いメニュー展開には、あと二つの重要な戦略が仕組まれています。

魚嫌いを寿司屋に向かわせる来店動機を生み出す、巧みなメニュー展開

一つ目は、来店客層の拡大と客単価の底上げです。すし以外の商品を扱うことで、本来でしたら寿司屋で外食したいとは考えない子供の来店動機や、魚介類が得意ではない人たちが来店グループの一員として食事に付き合う要因となっています。幅広いメニュー展開が、本来の競合である同業の寿司屋だけでなく、ファミレスなど異業種の客層を誘引する受け皿となるわけです。

特に子供たちの満足度を引き上げるメニューは、家族での外食先を選ぶ際に子供の意見を反映させることも多い為、ファミリー層の外食先候補としてエントリーされることで、彼らを定期的に来店させることに成功しています。デザートや締めの一品となる商品を用意していますので、すしだけを扱う場合に比べ客単価の上昇も期待できます。

また、麺類やカレーなどのメニューを増やすことによって、ディナータイムのセールスボリュームを増やすことに成功しています。ラーメンやカレーライスなどは、単体でもランチとしての選択肢に入る為、サラリーマンなどが昼食先を選ぶ際の対象として選ばれやすくなりますし、もともとディナータイムの来店比率が高いこの業界にとっては、ランチタイムのセールスボリュームを上げることは客席の回転率向上に直結します。

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別業界になりますが、同様の手法で業績を大きく伸ばしたのは牛丼の「すき家」です。吉野家などが先行し、牛丼業界では後発となるすき家が業績を伸ばした理由のひとつは、商品のバリエーションを女性や子供に支持されるものにまで広げ、これまでは男性客が占めていた店内にファミリー層を引き込む事に成功したからです。どちらも、ある特定のカテゴリに属する客層だけに支持されていたものを、より広い客層を取り込むためのメニュー展開に切り替えたことが功を奏したといえます。

円安などの外部要因から経営を守る、原価率低減策としてのメニュー展開

二つ目は、原価率を安定的な引き下げです。様々な魚介類を扱う寿司屋の原価は、外食の中でも高い部類に入ります。加えて漁獲量の増減による相場の変動や、円相場によっても大きな影響を受けます。メニューに記載された商品価格での安定供給を維持する為には、時期によっては薄利を覚悟で経営に臨む局面もあります。

ところが鮮魚である寿司ネタ以外の商品を扱えば、この問題を回避することが可能となります。ラーメンやカレーライスの原材料は、鮮魚ほど相場の影響を受けませんし、基幹商品の寿司ではないので価格設定にも自由が利きます。サイドディッシュが売れれば売れるほど、原価率を安定して下げることが可能になるわけです。

商品はやがてマネされる! メニュー戦略の「次の一手」として考えたい、お客様のファン化推進

このような背景もあり、大手回転すしチェーンでは現在もオリジナルメニューを次々と開発・投入しています。従来の寿司屋には存在しない客層を取り込み、原価率の改善につながる、訴求力の高いメニュー展開は今後も加速することが予想されます。

ただ、こだわりの見える独自の商品を扱うことで一時的には話題になりますが、競合他社が同様の動きを見せることで徐々に新商品投入による差別化が難しくなるのも明白です。オリジナルメニューが話題になっている今のうちに、来店したお客様をファン化する為の「次の一手」をお店の仕組みとして用意できるかが、プロモーションに左右されない本質的な差別化のカギを握ります。

寿司屋としての基本的な味の向上や、リピートを促進させる接客スキルの底上げなど、お客様が自覚できる「飲食店としての快適さ」を向上させる取り組みを並行することが、こうしたメニュー戦略のメリットを最大限に享受できる店舗作りにつながります。プロモーションの効力に頼らない「お店の地力」をつけ、プロモーションで誘引した顧客をファン化する施策が、結果的には地域での差別化をもたらすといえるでしょう。

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