人事・人材育成担当者必見! 高待遇をウリに出来ない採用活動を「仕事のやりがい」という言葉でごまかす前に見直したい、組織の「人が育つ仕組み」

給料の高さをウリに出来ない求人採用活動を「仕事のやりがい」でごまかす前に見直したい「人が育つ仕組み」

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今春卒業した大学生の就職率は、1997年4月の調査開始以降の最高のの97.3%、高校生の就職率も1992年の97.9%に次いで高い97.7%に達したという発表がありました。景気の回復を背景に多くの人材が求められる一方で、深刻な人不足に悩まされる業種も生まれます。人材の確保だけでなく、既存従業員の流出や早期退職を最小限にとどめる為に、組織が取り組むべき施策とは何でしょう。

目次

「仕事のやりがい」という、根拠のない主観だけを武器に求人する企業のあいまいさ

就職環境が売り手市場になると、それに伴い企業が提示する給与や待遇も一気に向上しますが、大手が提示する金銭的待遇にかなわない中小事業者は、それに代わる魅力を求職者にアピールすることが求められます。特別休暇制度などの福利厚生や、従業員間のコミュニケーションの良さなどの社風に関するものを提示するのが一般的ですが、そのどちらも提示できない多くの中小組織が、半ば苦し紛れと開き直りで提示するものがあります。それが「仕事のやりがい」という、非常に抽象的で主観的なメリットです。

実際には、仕事にやりがいを求める求職者はたくさんいますし、自社の仕事に誇りとやりがいを実感している組織人もたくさんいるでしょう。しかしここで問題なのは、従業員の労働環境を整える努力もせずに、給与や待遇で人を集められないことの隠れ蓑として「仕事のやりがい」という言葉を操り、求人を行う組織があまりにも多いという点です。

こうした「ニセやりがい」を謳う組織に、採用条件について伺うと「賃金の高さでは人を釣らない」という意味の、かっこいいポリシーを並べる傾向があります。もちろんこれは「ニセやりがい」という虚像を正当化する為の強がりです。それを証拠に、彼らの会社には「仕事のやりがい」が溢れているにもかかわらず、離職率が非常に高いという共通する特徴があります。唯一の魅力だったはずのやりがいが、入社してみると見当たらないわけですから、従業員が続かないのは当然だといえます。

この問題は、高い給与が支払えないことや、手厚い福利厚生が用意されていないことが原因で発生しているのではありません。「仕事のやりがい」という、本来なら仕事の魅力そのものと言ってもいいくらいの価値があるものを、目には見えない観念的なモノであるのをいいことに、決して良くはない労働環境を隠す為だけに使われていることが問題です。「賃金の高さでは人を釣らない」という不思議なポリシーも、きちんと賃金の代わりとなる魅力が存在しているからこそ成立するわけです。

求人のウリを持たない組織が抱えるムダとリスク

「ニセやりがい」による採用活動は、騙される求職者はもちろん組織にも多くの実害をもたらします。たとえば採用コストです。人材募集や採用には多額の費用と時間がかかりますし、採用した新人を教育するところまでを含めると、さらに数倍の金と時間を費やすことになります。せっかく採用した人材の勤続年数が短いと、このサイクルを一定期間に何度も回す必要に迫られます。採用・退職までのワンサイクルが長ければ長いほどコストを抑えることにつながりますので、入社したらバレる嘘をついて求人すること自体が、組織の利益を食いつぶしていることになります。

加えて勤続年数が長くなると、個々のノウハウが社内に蓄積されやすくなります。採用した人材の勤続年数が短いと、投資した採用・教育コストを回収できないだけでなく、組織に還元されるはずの売り上げや利益、それらを得る為の経験的ノウハウの蓄積が見込めないことになります。ひと夏だけの短期アルバイトを採用するのなら問題はないでしょうが、長期に及ぶ職務経験から得られる利益やノウハウに期待するからこその採用活動ですから、勤続年数が伸びない原因のひとつが採用活動にもあるのだとしたら本末転倒です。

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そして近年、インターネットやSNSの普及によって意識しなけなければならないのは、こうした人扱いを続けることで、どんどん就職希望者の量と質がジリ貧になるというリスクです。給与のように数字や目に見える形で出ない「ニセやりがい」は、求職者が被害に遭ってもトラブルやマスメディアのニュースにはなりにくいですが、彼ら個々が持つパーソナルメディアや、企業の評判やクチコミサイトに載る情報は決して軽視しないほうがいいでしょう。

もし初任給が20万円だと聞いて入った会社で5万円しか支払われなければ、新入社員はすぐ辞めるでしょうし、場合によっては事件として扱われます。約束したものが手に入らない詐欺に遭ったからです。この理屈は「ニセやりがい」に関しても実は同じことです。公表した給与が支払われないのは事件になるけれど、存在自体が主観的であいまいな「ニセやりがい」ならセーフという理屈は、騙されたと感じている求職者には通用しないからです。

彼らは労基署に駆け込むかわりに、手近なパーソナルメディアを使って情報を発信します。話を直接聞いた友人たちも、当人と同程度のパーソナルメディアを持っています。一度ネットに載ると決して消えることのないこうした情報は、現在就職活動中の学生だけではなく、取引先や顧客の目にまで触れることになるわけです。人材を集めたいが為に適当な言葉を並べて求職者を募っただけの採用活動が犯すリスクとしては、大き過ぎると言わざるを得ません。

組織にとっての、求人活動のゴールとは何なのか

人事や採用などに限った話ではありませんが、組織がある程度の規模を持ち業務が細分化すると、全体最適を考えず自身の守備範囲でしか物事を考えなくなる傾向が顕著に表れます。必要採用人数だけがゴールとなり、4月1日にスーツを着たフレッシュな若者が何人辞令書を受け取るかが評価の対象となり、入社した彼らが数年後にどうなっているかは配属先の管轄なのでおとがめも無いでしょう。求人広告を作る際に、自社の魅力がまったく思い浮かばないからといって、その為に社風の見直しや改善にまでは心が及ばないのかもしれません。

採用した人材が辞めないことが、良い組織の絶対条件ではありません。しかし、人が育たない組織は例外なく離職率も高く、本来でしたら待遇や教育などの内部投資にまわせるはずのコストを、すべて短期スパンで回り続ける採用・退職サイクルに浪費しているという現実は認識すべきでしょう。この悪循環から脱する為には、人が集まりやすく辞め難い組織を作るか、今の組織の現状を正しく伝えた上で入社したいという奇特な人を探すしか方法はありません。どちらを選ぶにせよ、採用活動は入社がゴールではなく、組織内で育ち長期にわたって力を発揮してもらうことがゴールだという認識は、セクションを超え組織内の共通認識として持つことが求められます。

一般的な就職は、漫画好きが高じた人が貧乏しながらも漫画家を目指すようなケースとは訳が違います。趣味や本当に好きなことを仕事にしている一部の人とは違い、多くの場合の「仕事のやりがい」は、職場環境に一定の安全さや快適さという土壌が確保された上ではないと、なかなか実感できないものです。もし本当に、仕事にやりがいを感じる人材が欲しいと思っているのであれば、採用担当者でさえ実感していないかもしれない「ニセやりがい」や、ESが低いくせに人材を「人財」と表記したパンフレットで求職者を欺く前に、既存従業員が仕事のやりがいを実感しやすい職場環境を作る為の投資を優先しましょう。

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