ニーズの限界 その1

どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

あなたは「シズル感」という言葉をご存知でしょうか。

主に広告業界で使用される言葉ですが、食品の持つ素材感・味わいを相手にイメージさせる「おいしそうな感覚」、みたいな意味です。

私が最初にこの言葉を知ったのは、当時話題にもなった永谷園のお茶漬けのCMでした。

タレントさん(後に聞いた話では、タレントではなく広告代理店の社員さんらしいのですが)が、ハフハフ言いながらおいしそうにお茶漬けを作って食べるというだけの内容なんですが、観た後で誰もが「お茶漬け喰いてぇ~~!」と感じるような、抜群のインパクトがあるCMでした。

「味」という、メディアを通しては本来伝えられない感覚を、「おいしい」ではなく「おいしそう」という形で表現しているわけです。

こういった広告、実はまわりにいっぱいあります。

焼肉がジューッと音を立てていたり、霜が付くくらい冷えっひえのグラスに注がれたビールをタレントさんが喉を鳴らして飲み干していたりと、「おいしそう」を感じさせるCMは、それこそ毎日のように目にします。

シズル感を食品広告に与える事で、購入意欲は一気に高まります。

さて、ここで一つ考えて頂きたいのは、シズル感で訴求した商品に関しては、よくマーケティング関連の話で出てくる「ニーズ」とは無縁の売れ方をする、という事です。

人間は生き物ですので何かを口にしないと死んでしまいます。

そういう意味では食べ物全てがニーズとも言えるのですが、この場合は栄養摂取についての話ではありません(笑)

晩御飯は魚を食べるつもりでいた人が、焼肉のたれのCMを観ただけで「俺、今日の晩飯は肉にする!」となるわけです。

こうしたニーズを無視した心の動きを利用する売り方は、シズル感に代表される食品に限った事ではありません。

「イメージ広告」が使われる商品の類も同様です。

前回のブログ、オール電化の話で言えば、CMを観て快適で近未来的に見える暮らしぶりを思い描き、「こんな生活あこがれるなぁ」と、オール電化のライフスタイルを夢見ている人の目には、そのCMはワクワクが止まらないくらい素敵に映るでしょうが、それは別に「ニーズ」ではありませんよね。

そういう方々はガス機器を捨てて電気機器に統一する「必要」に迫られているわけではありません、ただ「したい」と感じているだけです。

要するに「欲望を掻き立てられている」というわけなんです。

外車や住宅、宝石など、高級品・贅沢品と呼ばれる類の商品はほとんど全て、販売においてはこれと同様の手法が使われています。

商品が生活必需品から遠い位置にあればある程、購入を促すにはより強く欲望を刺激する必要があります。

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そりゃそうですよね、本来は日常生活に必要無いモノですもの。

購入した者のみが味わえる快楽や安心感、買う事で得られる自己満足、ステータスを訴求していますよね。

さてさて、ここからですよ、お話は。

では、地味な日用品には、こうした訴求方法は使えないのでしょうか。

話を食品に戻してみましょう。

永谷園のお茶漬け海苔も焼肉のタレも、購入するのは主に主婦層です。

一言で主婦と言っても色んなタイプがいますが、ここでは毎日折り込まれるスーパーのチラシを見比べ、一円でも安い店を目指す、基本的に買い物は値段が一円でも安いモノしか買わない、といういわゆる「底値買い」主婦さんで考えてみましょう。

「底値買い」してると聞くと、日頃そういう買い方をしていない人の中には、「何でもかんでも安けりゃいい」という考えで購入していると勘違いする人がいますが、それはとんでもない誤解です。

そこには必ず一定の「条件」が存在しています。

自分が求める一定の条件を満たした中で一番安いモノ、を選びます。

それだけではありません。

「条件には満たないけど、この値段で売られる事はめったに無いし」
「ちょっと高いけど、これだけ質がいいモノが出るのが珍しいし」

コストパフォーマンスも大きな判断基準になります。

わざわざこうやって書く話でもありませんよね、主婦層以外の誰だってこういう基準で選びます(笑)

コストパフォーマンスの高さを実感するという状況こそが「お得感」なんですから当たり前の事です。

さてこのコストパフォーマンス、簡単に言うと「値段の割りにええ仕事しまんなぁ」という事ですので(笑)それを判断する時は価格と他の何かを天秤にかけ、そのバランスで判断します。

品質・外見・必要性・兼用性などなど、これらが天秤に乗っかる「分銅」となります。

実はこの天秤、意識的に狂わせる事が出来ます。

この続きは次回で。

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