なぜお店は潰れるのか?
中小企業白書によると、起業・創業した法人で約3割、個人事業主においては約4割が、わずか1年で廃業または倒産しています。さらに、経営を10年続けることができるのは法人で約3割、個人事業主では約1割となり、この結果は、事業を継続することがいかに難しいかを物語っています。この数値は業種によっても異なりますが、特に個人事業主の場合は独立開業で店舗ビジネスを行うことも多いため、この傾向はそのままお店、つまり店舗ビジネスの開廃業にも当てはまると考えられます。
では、繁盛を願い万全の準備を整えて開業に臨んだはずのお店が、なぜこうも簡単に短期間で廃業へと追い込まれてしまうのでしょうか。
それにはまず、店舗ビジネスとは何かについて知る必要があります。
店舗ビジネスとは、特定の地域にお店を構えて商品やサービスを提供するローカルビジネスを指します。店舗立地を中心とした商圏が存在し、商圏内で暮らす人たちが顧客の対象であり、同時に店舗スタッフの対象でもあります。いわゆる街中の「お店商売」は、すべてこれに該当します。
お店が潰れる原因はいくつもあります。商品やサービスの質が悪かったり、接客が不評だったり、店舗の場所が悪かったり、競合店にお客様を奪われたり。原因はいろいろあるのですが、現象として共通する理由は「お客様がリピートしなかったから」の一言に尽きます。
当たり前のことですが、お店の商圏内で暮らす人の数には限りがあります。地域に密着した店舗ビジネスでは、この限られた人数の中から一人でも多くの人に来店してもらい、さらにその中から一人でも多くの人にリピーターになってもらうことで商売が成立しています。いいお店だからリピートする、いいお店だから友人に紹介する、地域に根差して永く繁盛を続けているお店は、例外なく多くの利用者をお店のファンに変えて「リピート」と「紹介」をされ続けているのです。
万全の開業準備でオープンしたお店が、なぜ廃業に追い込まれてしまうのか。それは、人数が限られる商圏内で、せっかく来店してくれた貴重なお客様がリピートしたくなるような施策を打てなかったからです。「商圏」や「商圏人口」という物理的な制限がある限り、一度来店したお客様に「またあのお店に行きたい!」と思われない地域ビジネスを続けることは不可能なのです。
もちろん、お客様をリピートさせないように頑張るお店などありません。どのお店も、来店したお客様に最大限気に入ってもらうために営業を続けていたと思います。ですが、どんなに頑張って商売をしているつもりでも、お客様がリピーターになるチャンスをお店自身で潰していることがあるのです。潰れるお店は、自然とお店が潰れる方向に機能していると聞いたら、あなたは驚くのではないでしょうか。
お店を繁盛させるのも潰すのも「仕組み」次第
- 繁盛してお客様が絶えないお店には、お客様に「この店で買おう」と思わせる「仕組み」があります。
- お客様に愛されリピーター比率が高いお店には、お客様に「また来よう」と思わせ続ける「仕組み」があります。
- お客様に寄り添い、自らが考え行動するスタッフが育つお店には、常に目の前の最善を判断し行動するスタッフが育つ「仕組み」があります。
『しくみ』
仕組みとは「自然とそうなってしまうルール」のことを指します。お店の規則として存在しているかどうかは問題ではありません。むしろ、お店を潰す原因となる「負の仕組み」の多くは、働いているスタッフでさえ仕組みだと気付いていないと思います。たとえば、
- お客様のリピート率が低いのは、せっかく来店したお客様に「また来よう」と思わせない「仕組み」がお店にあるから。
- お客様の客単価が低いのは、それ以上買おうという気持ちにさせない「仕組み」がお店にあるから。
- 何年勤務しても指示された作業しかできないスタッフが多いのは、指示された作業だけやっておけばいいやと思わせる「仕組み」がお店にあるから。
商品が売れるのも売れないのも、スタッフが育つのも育たないのも、すべてはお店の中に「そうなってしまう仕組み」があるからです。お客様が定着しない「不親切ないつもの商品説明」という仕組み、試しに店内に入ってみようとも思わせない「分かりにくい、いつものPOP」という仕組み、リピートしたいと思わせない「イラっとさせるいつもの接客」という仕組みが存在し、それら決して望んではいないはずの仕組みがしっかりと機能してしまっているから、結果としてお店は潰れるわけです。
つまり、お店の繁盛にも衰退にも明確な理由があり、どちらもお店の中で日常的に機能しているルールが原因になっているのです。お客様もスタッフも、すべてお店の中で機能する仕組みによって育ち、仕組みによって衰退・荒廃すると言ってもいいでしょう。
もしあなたが末永く繁盛を続け、お客様が絶えないお店を作りたいのであれば、これらの仕組みを開業までにお店の中に作る必要があります。
- お客様が集まる仕組み
- 来店したお客様がリピーターへと育つ仕組み
- スタッフがお店の掲げるゴールに共感し、お客様を大切に想い行動する仕組み
また、もしあなたが現在営業をしている既存店を繁盛店へと変えたいのであれば、今のお店に巣ぐう「負の仕組み」を一刻も早く駆逐し、新しい仕組みの種を植え、育てるための環境作りを始めてください。こうしている間にも、数少ない商圏内の店舗利用者は着実に「負の仕組み」で駆逐され続けているのです。
【店舗ビジネス「売れ続ける仕組み」構築マニュアル】にできること
このプログラムは、商圏内のお客様を最大限にリピーター化し、地域に根差して永く繁盛を続けるお店の仕組み構築を目的としています。売れ続けるための仕組みをお店に構築し、優秀なスタッフを育て、彼らが辞めない職場風土を作ることで圧倒的な地域一番店を目指します。本書の概要は以下の通りです。
[1章] 売れ続けるお店は、すべて「仕組み」でまわっている
- 売れてるお店、スタッフが育つお店は「仕組み」を持っている
- 売れ続ける仕組みを作る前に営業をしてはいけない「たったひとつの理由」
- 仕組みが先、集客は後
[2章] 仕組み設計の前に行う準備
- 仕組み構築前に共有する情報と、価値観の基準合わせ
- 売り上げと利益の構造を理解し、機会点を細分化する
- 売り上げを増やす方法
- 利益を増やす方法
- 人が集まるお店のイメージを共有する
- お客様の行動や心情を想像し、イメージを膨らませるコツ
- 競合店と比較したお店の価値の確認
[3章] 店舗オペレーションに組み込む「仕組み」を設計する
- 売れ続ける仕組みの設計
- ペルソナを設定する
- 入店から退店までの流れと、お客様の置かれる状況を洗い出す
- フックの確認
- フックの組み合わせと強さのブラッシュアップ
- 店内プログラムの導入検討
[4章] 人的仕組みを支えるスタッフが集い、育つ仕組みと環境の構築
- 仕組みの稼働に必要な人材を最短で育成するツールの準備
- お店のゴール達成のために働くスタッフが育つ、職場環境の構築方法
- お店を盛り上げ、永く働いてくれるスタッフの採用基準
- 質のいい人材が集まる、スタッフの求人方法
- スタッフの成長を促す評価基準・評価制度の作り方
[5章] いよいよ集客に着手する
- あなたのお客様候補に届くメディアを精査する
- ペルソナ調査
- 集客・販促ツール校正注意点
本書では、仕組みの構築手順を明確にするために、主にグランドオープンを目指して開業を準備する体裁で解説をしていますが、もちろん現在営業を行っているお店にも導入は可能です。
また、お客様のリピーター化を狙う上での重要な要素として、スタッフによる接客での立ち居振る舞いにウェイトを置いているため、店舗スタッフの採用・教育・評価についてもページを割いていますが、従業員を抱えない一人ビジネスを予定している場合は、オーナーご自身がスタッフ業務を兼任する前提でお読みください。
本書がお役に立てる人
【店舗ビジネス「売れ続ける仕組み」構築マニュアル】がお力になれるのは、以下の方々です。
- 地域で愛され、永く繁盛が続くお店を経営したい人
- これから店舗数を増やし、運営体制の体系化が必要な人
- 店舗ビジネスでの独立・起業・創業を考えている人
- 既に売りたい商品とお店の場所が決まっている人
- 現在経営しているお店を根本から改革したい人
- 商品に自信があり、品質向上への労力も惜しまない人
- すべての店舗型ビジネスの経営者
本書は店舗ビジネス全般を対象としていますので、業種や規模、扱う商品・サービスについての制限はありません。あなたが自信をもって用意した商品のよさと、良質で親近感のある接客サービスを軸に構築した仕組みをお店に導入することで、永く地域の方々に愛され、繁盛が続くお店を経営したいと願う人のお役に立てます。
本書が役に立たない人
一方で、以下に該当する方々には本書は役に立ちません。残念ですが購入はお控えください。
- 販売する商品やサービスに自信がもてない人
- 安売りを商品販売の武器として考えている人
- 商売に本気で取り組む気持ちのない人
- 自分で考えない、他力本願で他責な人
- スタッフを経営者の駒だと勘違いしている人
- 店舗型ビジネスを行わない人
本書は店舗ビジネス全般を対象としていますが、その汎用性を維持するために、業種によって条件の違いが大きい販売商品の選定基準や作り方、店舗立地の選定基準についての提案は行っていません。お客様が喜ぶ「いい商品」を用意するのは商売の大前提ですので、「何を売るか」「どこで売るか」を正しく判断できない人が運営するお店では、おそらく本書を実践しても効果は得られないでしょう。「いい商品なら必ず売れる」という話は残念ながら幻想ですが、よくない商品がリピートされ続けることもないのです。
あなたの街で、いつまでも愛されるお店を!
本書はインパクトマーケティングで実際に行うコンサルティングの手順をテキスト化したものです。コンサルティングとして行った場合、20倍以上のコンサルティングフィーと約半年の訪問指導が必要になる案件を、店舗内の組織人員だけでローコストに遂行できるよう作成しました。
本書の本文は、たったの58ページしかありません。とてもコンパクトな構成となっていますが、商圏内の見込み客に対して最大限に来店を促し、来店したお客様を逃さずお店のファンに変え、同じく最大限にリピーター化するための方法が過不足なく収められています。これから新しいお店を開業しようと考えている人、現在営業しているお店の根本的な改革を考えている人、あなたのお店がある街で、地域の方々にいつまでも愛されるお店を始めたいのであれば、ぜひ【店舗ビジネス「売れ続ける仕組み」構築マニュアル】の導入をご決断ください。
著者紹介
福谷恭治
インパクトマーケティング 代表
商売力養成コンサルタント
大阪府出身、滋賀県在住。龍谷大学法学部卒業。
大学時代に約40種類のアルバイトを経験し、その中でも特に接客業の面白さに目覚める。
卒業後、日本マクドナルド株式会社に勤務。
在籍中に二度の店舗グランドオープンを担当。
当時、同社でほとんど実施されていなかったポイントカードを店舗に導入することで、顧客のリピーター化の促進に成功し、店舗売り上げを対前年比で147%アップさせ、売り上げ対前年比伸び率のナンバーワンを獲得。
また、店舗のアルバイト比率が90%以上という同社で、リクルート担当として訴求力のある効果的な求人広告を打ち出し、在籍中は常に必要十分な人数と質を獲得し続ける。
退社後、国内最大シェアの印鑑・軽印刷フランチャイズに加盟。
販促ツールの提供を通じ、600超の中小企業経営者・個人事業主に実践的な集客・販促のアドバイスに携わる。
プライベート名刺、ステップアップ名刺を提案し、他の名刺注文依頼者に対して約2倍のリピート注文率を獲得。
県外に店舗を移した一年後でも、顧客の25%が県境を超えて通うリピーターで占めるという、コアなファン作りの体現者でもある。
現在は【インパクトマーケティング】を主宰し、マーケティングコンサルタント・経営コンサルタントとして、集客からリピーター育成までの具体的な仕組み作りや改善策の提示、その仕組みを機能・発展させるための「ミッション経営による組織化」提唱を通じ、中小・店舗経営者の「商売力向上」を支援している。
また、自ら「マーケティングを知るグラフィックデザイナー」として販促ツールの作成にも携わり、集客に必要な販促物のビジュアライズや、企業内担当者への指導を行っている。
主なメディア来歴
・朝日新聞 2017年7月26日夕刊
『「不法認識、でも店回すこと優先」 「だるま」労働問題』
・買わせる心理学 -相手に気づかれず「その気」にさせる技術 (齊藤 勇 監修 2016/4/8出版)への制作協力
・リクルートのフリーペーパー 「R25」2014年5/15号
『売上10倍!ダジャレネームの効能』
・下記WEBニュースサイトにコラムを多数掲載
シェアーズカフェ・オンライン
ハフポスト
ブロゴス
座右の銘:「面白くって、為になる」