いい会社、いいお店は「人が辞めない」という事実を、まず認めよう

どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

 

経営者、店舗などの現場責任者の皆さん。

あなたの組織や職場を離れていく人たち、退職者についてどういう認識をお持ちでしょうか。

 

本当の退職理由を深掘りしない経営陣と、退職原因が改善されない組織の問題

採用した人材が退職するのには、それぞれ理由がありますよね。

定年退職や寿退職なんておめでたい響きのものから、引っ越し、進路や夢実現の為、妊娠・出産、病気、身内の不幸のような、一見すると避けられないような事情によるもの。

または職場の人間関係や待遇など、労働環境への不満によるもの。

 

理由は上記のどれかひとつだけの場合もありますが、実は多少なりとも理由は複合的で、複数の理由を組み合わせて「合わせて一本」というケースがかなり存在します。

学校が忙しいからという理由で退職しようとしている学生さんが、実は待遇への不満もあって、アルバイト先を変える「言い訳」として学業を理由に挙げたりします。

これは、同じ理由で退職の申し出をする人の中でも、仕事や職場を気に入っている人の中には、退職ではなく勤務頻度の変更や休職という折衷案を「自ら」申し出る傾向があることでも明らかです。

外部事情で退職を申し出る人たちは、本当に避けられない事情で退職する人と、外部事情に乗じて、または外部事情というテイで(笑)退職する人に分かれるわけです。

個人的な感覚で言えば、本当に本人が避けられない理由「だけ」で、泣く泣く退職する方の比率は、わずか数パーセントでしょう。

 

退職理由が「合わせて一本」の場合、複数ある理由のうちの「ひとつだけ」しか雇い主に伝えないケースがほとんどです。

経営者や職場の責任者は、退職の申し出を受けた際にその理由を尋ねると思いますが、その理由が「すべて」ではないということです。

特に職場環境や労働環境への不満で募って退職する場合、伝えられた理由が退職動機のすべてではないどころか、それが正しいかどうかも定かではありません。

面と向かって不満を口にするのをはばかって、適当な理由を挙げて退職しようと考える人は想像以上に多いと言えます。

 

と同時に、職場環境や労働環境が人材流出の理由に充分なり得るという「思い当たるふし」がある職場責任者ほど、その本心をしっかり確認しないまま退職させてしまう傾向があります。

現実を、あらためて自覚したくないわけです。

個人と個人の痴情のもつれで退職するなら「知らんがな」って話ですが(笑)評価システムが不完全だとか上司が醸し出す雰囲気や、部下に与えるストロークに問題がある場合、現場の責任者だって薄々気付いていることでしょう。

こうした環境の餌食になって、不満を抱いているであろう人が誰かなんて、一緒に働いていればだいたい分かっていますよね。

そういう人が別の理由で退職を申し出ても、その言葉を額面通りに受け取ってなんかいないはずです。

「本当の退職理由はソコじゃないんだろうな」とは感じながらも、現場責任者がその問題を解決する意思がなかったり、何なら「オレだって我慢してんだよ」なんて考えていると(笑)そこをあえて掘り下げようとはしないんですよね。

自分の無能さと無力さと、自分が所属している組織のポンコツさを認めてしまうことになるからです。

「ホントはもっと別の理由があるんじゃない?」

なんて掘り下げて聞かないんです、聞いても対応するつもりなんてないんですから。

退職理由を掘り下げて出てくる答えが何かなんて薄々は勘付いていますので、それをあらためて知らされたくないわけですね。

たとえ話の流れでその理由を退職者から聞くことがあったとしても、その意見を真摯に受け止め、同じ理由で更なる退職者を生み出さない為の改善に乗り出すケースは極めてまれでしょう。

「弱いヤツやなぁ」

「間違って『ハズレ』を採用したみたいやな」

挙句の果てに、適性のない人材を間違って採用したかのような結論で報告されることも珍しくありません。

 

従業員が辞めていくのは、決して「当たり前の光景」ではない

雇った従業員には、すべて「期限」があります。

学生アルバイトなら卒業まで、一般社員なら定年まで、もちろん個々の事情で変わることはありますが、少なくとも雇用契約の時点では双方とも、考えられる限り最長の期間を想定しているはずです。

高い募集費をかけて求人し、一人前になるまで給与などのお金を投資し、仕事を教える為にトレーナーの人件費までつけているのは、ひとえにその後の組織貢献への先行投資、想定期間の満了まで能力を発揮してくれることを期待しているからこそです。

雇った従業員が続かないという現象は、組織によってはもはや見慣れた光景に映っているかもしれませんが、雇用主が本来働いて欲しいと考えている期間を満たしていない退職者が多いのであれば、それは多大なコストロスを野放しにしていることを意味します。

こうした組織は往々にして、「ひと」の選定や教育に関する一連の取り組みに対する結果を、ともすれば「不確定要素」として不問に処する傾向がみられがちですが、費用対効果だけを考えて組織のこうした状況を放置することは、言葉は悪いですが「異常」です。

正社員として雇った人材が、平均して数年で辞めていくという現状を「わが社では『普通』の出来事」と捉えていることは異常なんです。

病気や引っ越しなど、いかんともしがたい理由以外での退職は、すべて「勤務が始まってから、組織内で新たに『発生』または『発覚』することで起こっている」という事実を、雇用主はまず認識する必要があります。

と同時に、採用した人材が勤務開始後に退職を決意する理由のほとんどは、組織の制度や風土を含めた新人が働く職場環境にのみ存在しているという事実が明確になれば、対策は充分に可能な問題だと言えるわけです。

 

離職は改善できる!人材を流出させている原因と向き合おう

同一地区に存在する同業種の組織で、求人の際に謳っている待遇にも大きな差がないという環境下であっても、早期退職が少ない職場は実際に存在します。

その違いを生むのは、一言でいえば「辞めたくなる理由が生まれにくい環境が、組織内に風土として存在する」ということに尽きます。

「ひと」として尊重され、職業人として認められている
スキルアップや成長を実感できる
組織の運営に参画し、貢献できているという充実感ら得られる
求人時に抱いたイメージと実情のミスマッチが少ない
職場の人間関係が良好で、仕事以外のストレスが少ない
仕事に対して納得のいく評価が与えられる

従業員が高い帰属意識を保持する為には、こうした職場環境を用意する必要があります。

組織内の風土を整備することはもちろん、求人の反応欲しさに実情と違う「ウソ」をついて求人していないか、絞り込みを間違えてそもそも合わない人材を集めてしまっていないか、などを含めて改善を図ることが求められます。

 

改善は、メンド臭いですか?(笑)

こんなにコスパの高い、組織に利益をもたらす取り組みはそうありませんよ。

上に列記した項目は、その為に何が出来るかを考えて頂くと分かりますが、大々的に予算を組んで推し進めるような改革はほとんど必要ありません。

どれもこれも、今まで無駄にしてきた求人費や教育の為の人件費よりも、はるかに低コストで実現できるものばかりです。

 

今まで金にモノ言わせて、短期スパンで貴重な人材を使い捨てていたのなら(笑)環境整備なんて手間がかかると感じているのかもしれません。

しかし、手間をかけただけの恩恵は必ず受けることが出来ます。

上に挙げた項目を実感しながら働く、帰属意識の高い人たちが組織に何をもたらすのかを考えてみてください。

今までだったらとっくに心が折れて、辞めることを考えながら仕事をしていたであろう人たちが、それよりもはるかに長い期間にわたって、仕事を通じて積極的な組織貢献を続けてくれるわけです。

コスト削減どころか、どれだけ利益を生み出すんですかって話ですよ(笑)

 

早期退職の原因は、すべて組織が生み出しているという認識が改善への第一歩

人の働きぶりは、良くも悪くも変化していきます。

最初は素直だったのに、いつのまにか役立たずになったとあなたは感じているのかもしれません。

正直、辞めてもらったほうがありがたいと思える従業員も、中にはいるでしょう。

 

しかし、こういう人材が社内に生まれる原因が、面接での人選ミスにあろうと入社後の変貌にあろうと、組織の採用から教育までのフローの中で起こっているのであれば、彼らのような人材は今後もあなたの組織内に生まれ続けることは間違いありません。

素養を見誤って採用しているフシアナなのか、教育方法や職場環境を間違えたせいで優秀な従業員を役立たずに変えているのかは言及しませんが(笑)どちらにせよ原因はすべて組織側にあります。

だったら、その原因は究明し、改善する必要がありますよね。