マニュアル経営を超え、理念経営・ミッション経営を実践する為には絶対に外せない、人材教育のツボ

どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

 

前回のブログで、お客様がお店のファンになる理由のひとつは、お店の人に「ちゃんと向き合って相手をしてもらってる」という感覚が得られるからだという話をしました。

前回記事コチラ ↓
【相手に寄り添える人が愛されるように、お客様に寄り添えるお店がリピートされる】

 

組織のすみずみにまで「お客様に寄り添う」という価値基準や行動規範を浸透させる為には、なんらかのルール、仕組みが必要となってきます。

その中で今回は、特に注意が必要な「具体例による説明」についてお伝えしたいと思います。

 

従業員にやって欲しい行動を、例え話「だけ」では伝えてはいけない理由

たとえば、前回の記事で私は「小さなお子さんのいるお客様には、言わなくてもハイチェアを用意してくれる」という例を挙げました。

お子さん連れのお客様が来店された時に、お客様から頼まれる前に子供用のハイチェアを用意してあげたら「あ、気が利くわね」って喜んで下さるんじゃないですか? という、ひとつの例です。

 

ここでやってしまいがちなのは、その例「だけ」を伝えて教育しようとすることです。

もっとマズいのは、店舗の接客マニュアル(作業手順書)に『小さなお子さまを連れたお客様が来店したら、ハイチェアを用意する』と書いてしまうことです。

ありがち、ですよね(笑)

何が問題なのでしょうか。

 

一番の問題は、その行動が「独り歩き」してしまう危険があるということです。

本来その行動をとる「意図や目的」が存在しているはずなのに、いつのまにか枝葉である行動をとるか否かが「ルールを守っているか否か」にすり替わってしまうからなんですね。

今回の例で言えば、元々はお客様に喜んで頂こうという意図で「小さなお子さんを連れたお客様には、言われる前にハイチェアをご用意してみたら?」という提案です。

はじめてオーナーさんからその話を聞いたアルバイトは、ちゃんと意図を理解したかもしれません。

ところが伝言ゲームのようにその教育内容が新人さん達に伝わったり、マニュアルに『小さなお子さまを連れたお客様が来店したら、ハイチェアを用意する』という「現象」だけが表記されることで、その意図が正しく伝わらなくなってしまいます。

それはやがて「お子さん連れにはハイチェアを出しましょう」みたいなルールになり、そのルールだけを教えられた子育て経験のない新人さんは「何歳の子供までハイチェア必要なんだろ?」みたいなズレたことを考え出すわけです(笑)

 

マニュアル・ルールは「プロセス」、理念・ミッションは「ゴール」、さてどっちが大事?

大事なのはハイチェアを用意することじゃないんですよね、お客様に喜んで頂く為に何が出来るのかってことを、その都度考えて行動に移すことです。

ハイチェアを用意することは「山ほどある正解の中のひとつ」かもしれませんが、決して「正解のすべて」ではないはずです。

最初はおそらく「イメージしやすいように」という意味で具体例を示しただけのはずですが、教育の際に例示だけで済ませてしまうと、一番大切な「考える」というプロセスが抜けてしまい、やがては「それをやればいい」「それをやらなきゃいけない」というルール、しかも間違ったルールが(笑)完成してしまいます。

 

ルールやマニュアルは本来、望んだ結果にたどり着く為のガイドとして作られていますよね。

この場合の「望む結果」は「お客様が喜ぶこと」です、決して「一例だけを実践すること」ではありません。

従業員に考えて行動するようになって欲しいのであれば、ただ具体例を示して教育を終わらせるのではなく、「コレをしてもらった時に、お客様はどんな気持ちになる?」という投げかけを必ず行いましょう。

同時に、お客様を「その気持ち」にさせる為に出来ることを、他にも考えて実行するように促すことを、トレーナー自身にも習慣付けを行いましょう。

様々なシチュエーションの様々なお客様にマッチした、オーダーメイドのサービスを提供することが目的ですから、勤務中の従業員は常に「お客様が喜ぶことは何かな?」と考えていて欲しいはずです。間違っても「いつ小さなお子さん連れのお客様が来るのかな?」なんて考えていてもらいたいわけではありませんよね?(笑)

お客様に何をするかという「プロセス」が大切なのではなく、それによってお客様はどういう気持ちになるかという「結果」を軸に物事を考えることが大切なんですね。

 

接客マニュアルを使うか、接客マニュアルに使われるかの違いがリピーターの差

現在業種を問わず、接客を伴うほとんどの企業では接客マニュアル・サービスマニュアルと呼ばれる「接客の作業手順書」が用いられています。

アルバイトを数名抱えるだけの個人商店などでも、自店のルールを作成・運用しているところは珍しくありません。

マニュアルは作業の手順を書いたものですが、本当に伝えなければならないのは作業そのものではなく、それをする「目的」であり、最終的に目指す「ゴール」です。

接客には間違いなく技術もテクニックも存在しますが、何を目的にその作業を行っているのかという認識が不十分なまま、マニュアルだけで立ち居振る舞いをコントロールしようとすると「お客様を見ているようで、実はまったく見ていない」という歪みが生まれます。

そしてそのその歪みの存在は、間違いなく売り手より先にお客様が気付きます。

マニュアルを暗記して、型通りの接客を「作業」として行っているだけだとお客様が気付いたら、もうその売り場からは何の感動も生まれませんよね。

 

マニュアルに書いてあるからハイチェアを持ってくる店員さんと、お母さんがお子さんにご飯を食べさせる手間を少しでも軽減して、お母さん自身にも快適に食事をして欲しいを考えてハイチェアを持ってくる店員さん、どっちのお店に「また行きたい」と思う? ってことです。

この時、前者と後者ではお客様と交わす会話の中身や表情、声のトーンなどにも明確な違いが表れるはずです。

マニュアルに書いてあるからハイチェアを持ってくる店員さんはハイチェアしか持ってきませんが、お客様に寄り添って独活いている店員さんは、お子さんの着座を手伝いながら年齢を伺ったり、育児の労をねぎらったりするかもしれません。

どっちの店員さんのいるお店に「また行きたい」と思うか、考えるまでもないでしょう。

前者と後者の違いを埋めるのが「目的」であり「ゴール」なんですね。