経験者を優遇採用する企業に、良い人材が集まらない理由

経験者を優遇採用する企業に、良い人材が集まらない理由

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少しでも即戦力に近い人材を確保したいという考えから、正社員の中途採用やアルバイトの募集要項に「経験者優遇します」という文言を記載する企業は多いですが、本当に育成時間の短縮につながるのでしょうか。

目次

仕事に向いていない経験者は掃いて捨てるほどいる

即戦力の人材を求める企業側にとって、経験者はとても魅力的に見えますが、職種・業種を問わず、すべての仕事には適性、いわゆる「向き・不向き」が存在します。現実の就業環境では、適性の高いA君と適性の低いB君が同じ職業に就くことが往々にしてありますし、何らかの理由で退職した場合、彼らは共にその職種の「経験者」を名乗る資格を得ます。これは、適性の低い人間でも経験者を名乗る資格を持つ者が一定数存在することを意味します。

そもそも適性とは何でしょう。大辞林によると「ある事に適している性質や能力。また、そのような素質・性格」とあり、これはビジネスで置き換えると、その仕事を成し遂げるのに適した性質、能力、素質、性格などの素養と言えます。そしてこの場合の「仕事」とは、単なる作業や業務のみを指すのではなく、組織が従業員に望む「理想とする働き」を指します。

実務を経験させる何倍も時間と手間がかかる適性矯正

たとえば物販店のスタッフが行う主な業務は、レジ対応や商品陳列などが該当しますが、ただレジを打って商品を並べることさえ出来れば適性があるという判断にはなりません。レジが打てるだけではなく、お客様や他のスタッフへの気配りが出来る人や、責任感が強い人、仕事への取り組み姿勢が前向きで貪欲な人材を採用したいと思うはずです。一言でいえば、より「向いている」人材が欲しいのです。

では、誰かに物販店の業務を一通り教えるのにかかる時間と、誰かの性質や性格を、お客様やスタッフへの気配りができ、責任感が強く、仕事への取り組み姿勢を前向きで貪欲なものに変える時間、どちらが長くかかるでしょうか。

もちろん後者です。人によっては新しい価値観を理解し、かつ実践してもらうことまでを求めますので、相当な時間と手間を覚悟する必要があります。特殊な専門職は別ですが、少なくとも試用期間が数ヶ月程度に設定されている採用案件であれば、業務を覚える時間のほうが、個々の性格や性質に根ざしたものを矯正するよりは短くて済むはずです。

従って、採用したスタッフが、経営者やお客様に「向いている」と思われるレベルになるまでの教育時間を、短い順に並べると以下のようになります。

①その仕事への適性があり、経験もある
②その仕事への適性があるが、経験はない
③その仕事への適性はないが、経験がある
④その仕事への適性がなく、経験もない

従業員教育の時間や手間を軽減する為に、多くの企業が「経験者優遇」と記載して採用活動を行っているにもかかわらず、実は経験者を優遇することが最も効果的な時短になっているわけではないんですね。適性はあるけど経験はない人材の方が早く育つのなら、「経験者優遇」と記載して採用活動を続ける限り、企業の前に彼らは現れないことになるわけです。

求職者にとっては重い「経験者優遇」の一言

このように書くと、経験者優遇を謳って中途採用を行っている企業からは異議を唱える声もあるでしょう。「ウチが募集要項に『経験者優遇』と書いてるのは、あくまでも面接や適性検査で素養を判断し、その上で経験者を優遇する、という意味なんですよ」と。

確かに実際の選考過程はそうだと思います。しかし、経験者優遇と表記することで「経験者しか採用してもらえない」と求職者が解釈してしまい、実は金の卵である高適性者が応募してくる可能性を摘んでしまっているのだとしたら、ずいぶんな機会損失です。たとえ組織側が、実はさほど経験を重要視していなかったとしても、求職者にとっての「経験者優遇」の一言は非常に重い意味を持つからです。

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経験者は放っておいても勝手に集まる

もちろん、ひとくくりに経験者を募集するといっても、職種によっては本当に未経験では如何ともしがたい仕事も数多くあります。専門性が高く深い造詣や知識が必要であったり、一人前の技術を習得するまでに非常に長い年月がかかったり、前任者の退職で急に一定レベル以上の人材が必要となった場合ならその限りではありません。しかし、わずか1~2年、職種によっては数ヶ月で最低限のことは身につくレベルの経験者を、あえて適性の高い未経験者を選考候補から外してまで募集するメリットは、正直なところまったく見当たりません。

冒頭で書いたように、適性の高い人材も低い人材も同じ仕事に就くことがある為、適性の低い経験者が世の中には山ほどいます。多少の実務経験があるという程度の情報だけでは、彼らの資質は判断出来ません。結局、経験者という色眼鏡を外して「人となり」から適性を再測定する必要があるわけです。だったら最初から経験の有無など問わず、まず同じステージに乗せて適性を確認するほうが、組織が望む人材にめぐり合う可能性が高くなるのは間違いありません。

そもそも経験者優遇などと記載しなくても、多くの職務経験者は勝手に過去の経験を生かせる場所を探して集まろうとします。せっかく前職で得た知識や経験を次の職場でも生かしたいというニーズは常に存在しますので、一定比率で経験者にはめぐり合えるのです。「経験者が採用出来たらラッキーだな」程度の理由で経験者を優遇表記することは、組織が良い人材とめぐり合う可能性を下げているだけだと言えるでしょう。

まずは、経験者に頼らなくてもいい組織作りから

根本的な問題でいえば、経験者優遇の採用活動をやめる以前に、何年も事業を続けているにもかかわらず、経験者を優先採用しなくてはならない組織の状態をまず改善するべきでしょう。従業員の経験やノウハウを組織内に蓄積する仕組みを持たないが為に、いつまで経っても外部から経験者の流入を期待せざるを得ない状況が続くわけです。

経験者優遇の採用活動をやめる為の最良の方法は、先人の経験を組織にノウハウとして残すこと、人を育てる組織風土を構築すること以外にありません。何をどこまで教えればどういう人材に育つのかというモデルケースが明確であれば、人材教育は決してハードルの高い障害ではありません。適性にフォーカスし、適性の高い人材に効率的なトレーニングを行えば、少なくとも自社にとって最高のスタッフは育ちます。

組織の風土やビジョンにマッチした人材を確保しやすい、業務経験ではなく適性にフォーカスした採用活動は、人材不足と言われる今こそ組織が備えるべきスキルだといえます。借り物の経験ではなく、自社で培った経験を後進にシェアできる組織作りが、結果的に離職率の低下につながり、採用活動を楽にすることにもつながります。

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