どんなに仕事がデキても評価してはいけない人材とは? -人材育成が加速する人事考課制度-
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どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。
お店や会社などの組織で、どんなに優秀で実務能力が高くても、一定以上の評価や職位を与えてはいけない人種がいます。
それは「後進を育成できない人」です。
人材育成スキル持っているかどうかではなく、部下や同僚に自分が得た知識や経験をシェア出来ない人、する気のない人は決して高く評価してはいけませんし、本来は組織に置いてもいけません。
目次
新人スタッフにしか教えられないコトがある!
社長から今日入ったパートさんまで、組織に所属したすべての人間には誰かを育てる義務、惜しみなく自分が持つ仕事に関係する経験や知識をシェアする義務があります。
これは「育てたほうがいい」とか「シェアしたほうが望ましい」なんて、ぬるい方向性の問題ではなく、義務です、義務!
「今日入ったパートさんに何が教えられるねん!?」
とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、とんでもないです。
新人のトレーニングを担当するトレーナーは、トレーニングを受ける新人さんの状況を正しくフィードバックされないと、トレーニングの精度や知識レベルが上がりません。
今日入った新人のパートさんには、どこがどう解って、どこがどう解りづらいかを確認する必要がありますので、新人さんはある意味では「トレーナーのトレーナー」でもあるとも言えます。
また、一日経った勤務二日目には、たった一日分の知識や経験しかなかったとしても、一日遅れの今日入った新人さんに何かを教えることは可能です。
自分自身が解りにくいと感じていたところは、昨日教えてもらった言い方よりも上手い表現で伝えられる可能性だってあるわけです。
では、トップから末端まで全員総出でお互いがお互いを教え合う組織と、教え合わない組織にはどんな違いが生まれるのでしょうか。
自分の知識なノウハウを同僚や部下に教えると「自分の成績が目立たなくなって損する」とか「自分の仕事が奪われる」とか「自信の存在意義が薄れる」なんてセコい了見で仕事をする人材を、組織が放置することにどれだけのリスクがあるのでしょう。
知識や経験をシェアし合えない組織には、明るい未来が何もない!
まず一番の問題は、知識や経験を惜しみなく同僚や後進に伝える組織じゃないと「組織内にノウハウを蓄積出来ない」ということです。
たとえば、生保で営業成績がズバ抜けて良い人がいるとします。
おかげで売り上げは上々、そりゃもう圧倒的に契約を取ってくるんだけど、どんなトークやクロージングのテクニックを使っているのかわからない。
その彼が、もし来月転職したら?
もちろん売り上げはガタ落ちですよね。
なぜなら、この売り上げは生保の会社が作ったものではなく、彼が個人的なスキルで立てたものだからです。
知識や経験が充分にシェア出来ていない組織には、常にこうしたリスクが付きまといます。
個人の資質に頼っているので、常に優秀な人材を探し続ける必要があり、組織内でイチから優秀な人材を育成する力を持ちません。
神頼みならぬ「才能ある誰か頼み」でしか水準を維持できないわけです、ある意味「運任せ」なんです。
また、同じ教えるにしても、誰かが誰かを教えるというワンウェイのトレーニングではなく、前述の今日入った新人さんのくだりのように、すべての人間が自身の知識や経験をシェアし合う環境は、個々のノウハウの偏りや欠損を補う効果があります。
個人の経験を教えるというのは実は両刃の剣で、個人的な経験や主観が誰にとってもベストだとは言えません。
「お客様と共に歩もう」という理念を持つ会社が、営業ノウハウを「あ~、客の顔が札束にしか見えねぇ!」が口癖の(笑)営業マンからすべてを学ぶことにはムリがありますよね。
営業トップではないけれどお客様のご指名が一番多い人のノウハウと、営業トップの札束くんのノウハウを「いいトコ取り」して社内の営業ノウハウが構築出来れば一番いいわけです。
さらに、知識や経験を出し惜しみしない組織を作ることで、人材の加速度的な成長を見込めます。
これは組織内にノウハウが蓄積することで、本当にビックリするくらい変わります。
多少の語弊を覚悟で言いますが、昔ながらの職人の世界にありがちな「技は盗んで覚えろ」みたいな教育手法は時間のムダでしかありません。
たとえば、会社の先輩に「技は盗んで覚えろ」と言われて10年かけて一人前になったAくんがいるとします。
10年後、新しく入ったBくんがAくんから同じ方法で仕事を学ぶと、同じように10年かかりますよね。
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ところが、AくんがBくんに知識や経験を積極的かつ体系的に教え伝えることで、最短コースの3年でAくんレベルになることが可能かもしれません。
しかも、Bくんは浮いた7年を使ってさらに新しい知識や経験、ノウハウを手に入れることが可能になります。
この7年分のノウハウはもちろん組織に還元されますので、組織のノウハウは7年分進化したことになります。
当然、次に新しく入ったCくんはBくんのノウハウも受け継ぎますので、Dくんが入った時には更に進化したノウハウを若くして継承してもらえます。
こうした輝かしい、組織の未来に広がる可能性を、組織内でノウハウを伝え合わない組織は完全につぶしているわけです。
もうね、もったいないオバケが政令指定都市作れるくらい湧いてきますよホント。
人を育成した人材よりも、育成しなかった人材が評価されている矛盾
さあ、知識や経験をシェアしない組織がどれだけハイリスクかつノーリターンなことをしているかはご理解頂けたと思います。
「じゃあみんなで、出し惜しみしてるセコいヤツを糾弾しようぜ!」
というのは間違いです(笑)問題は個人のセコさじゃありません。
知識や経験をシェアし合う風土を作らなかった、組織の経営陣の責任です。
言っておきますが、仕事を通じて個々が現場で得た知識や技術・経験などは、最初から「ひとつ残らず組織の資産」であり、財産です。
てなこと言うと、数年前によく耳にした発明をめぐる企業と所属研究員との裁判が浮かぶ人も多いかと思いますが、あれだって発明そのものは企業のものですよね、ただ画期的な発明をしてエグいくらい企業が大儲けしたのに、研究員は会社員だからと報酬をケチったせいでモメただけで(笑)
研究以外の、特許騒ぎにならない職場で得た一般的なノウハウは、たとえば転職したらそれを生かして新天地で働くことも普通に行われますが、少なくともその組織に所属している間は個人のものではなく組織のものです。
ではどうしてそんなに知識や経験を独り占めしたがる、セコいヤツらがどの組織にもいるのか。
それは、そういう人を優秀だと評価する制度が、現実に機能しているからに他なりません。
自分にしか出来ないことがあったら目立つし大事にしてもらえますもんね、そういう評価を所属している組織がするんだから、誰だって自分の為だけに経験も知識も使いますよって話です。
「仕事で得た知識や経験は、ひとつ残らず組織の資産だからみんなにシェアしなさい」って言ったところで、それをせずに自分の為にだけ使ったほうが、なぜか同じ組織からの評価も高くなるわけですから、誰がそんな綺麗ごとに耳を貸しますの?って話になってしまうんですよね。
じゃあ、どうするか。
それを最初から当たり前にする企業風土を作るしかないですよね。
ただ知識をシェアしなさいとワーワー叫ぶだけでなく、得た知識や経験を同僚や後進に惜しみなくシェアする人間を、人材育成に貢献したと正当に評価する組織の仕組み、評価制度を作るしかない。
評価制度にどれだけ後進育成のウェイトを置くか、という落とし処を決める以外に、この矛盾を解消する方法が存在しないんです。
で、ここで最初に書いた言葉に還るわけです。
「お店や会社などの組織で、どんなに優秀で実務能力が高くても、一定以上の評価や職位を与えてはいけない人種がいます。
それは『後進を育成できない人』です。
人材育成スキル持っているかどうかではなく、部下や同僚に自分が得た知識や経験をシェア出来ない人、する気のない人は決して高く評価してはいけませんし、本来は組織に置いてもいけません。」
スキルのある人材に対して、ある一定までの評価をするのは良しとしても、人を育てることが出来ない人材の評価がそれを上回るのは組織のあり方として問題がある、ということです。
人材を本気で育成したいのなら、育てることに貢献している人材を高く評価する。
ノウハウが蓄積・継承される組織には、この仕組みが絶対に必要なんですね。
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