お客様を選ばない、教育しない経営の弊害を理解しよう -インバウンドによる中国人観光客がもたらす予約のドタキャン被害-

お客様を選ばない、教育しない経営の弊害を理解しよう

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中国人観光客による、予約のドタキャンが問題視されています。インバウンドの恩恵にあずかることと引き換えに、予約に対する国民性とも言える認識の違いに翻弄される企業は、今後どのように対応すればよいのでしょうか。

目次

ドタキャンがもたらす様々な実害

爆買いに代表される、中国人観光客がもたらす経済効果は非常に大きい反面、予約が必要となる商品やサービスを提供する業種の多くは、ドタキャンという実害を被っています。

『予約をしたら、必ず行くもの。どうしても行けないなら、前もって連絡をする。そんな日本の常識を中国人観光客は理解できない。直撃を受けるサービス業界から悲鳴が上がり始めた。(中略)京都では、ホテルだけではなく料亭やレストランでもドタキャンが多発。見かねた京都市役所は、外国人向けにマナーを啓発したパンフレット「京都のあきまへん」を発行。レストランのドタキャンも「禁止リスト」の項目のひとつに入っている。もちろん京都に限らず、中国人観光客によるドタキャンは、全国のレストランや飲食店でも相次いでいる。
現代ビジネス もう来なくていい!中国人の「ドタキャン」ひどすぎる 2016/09/06』

航空券のように前金や預り金制度を採用している一部の業種では、キャンセル料として一定金額を請求することが容易ですが、多くの企業はキャンセル料の存在こそ謳ってはいるものの、実情は請求や取り立てを行う手間すらかけられず泣き寝入りしていケースがほとんどです。特に、利用の際はまず予約するのが当たり前となっている業種では、ドタキャンが発覚してからの短時間で、空いた穴を埋めるのは至難だといえます。

私が知る京都の高価格業態の飲食店でも、中国人観光客からの予約をスムーズに行う為にと、近年WEB予約システムを導入しましたが、当たり前のように発生するドタキャンで売り上げを逃し続け、結局WEB予約システム自体の運用を中止してしまいました。ドタキャンの影響は、当日の売り上げだけでなく、無駄になる商品材料や人件費などのコスト、空席が目立つというネガティブなお店の印象を、他のお客様に与えることにまで及びます。

ドタキャン客を減らす、ふたつの方法

インバウンドや爆買いというニュースバリューのおかげで、中国人観光客によるドタキャンが殊更に話題となっていますが、予約の直前キャンセル自体は日本人も行います。ドタキャンに限らず、一部のお客様による立ち居振る舞いに迷惑を被っている売り手は、日本中にいるということです。ドタキャンの受難を避けたいのであれば、中国人だからどう対策するという話の前に、根本的な経営方針の問題について解決する必要があります。

実は、売り手の意に沿わないお客様の発生を防ぐ為に、売り手が採る対策はたった2つしか存在しません。ひとつは「お客様を選ぶ」、もうひとつは「お客様を教育する」です。お客様を選ぶとは、お店の運営ルールを含めた、お店が提供する物事すべてを受け入れてくれる人だけをお客様として相手にすること、お客様を教育するとは、言葉通りお店が望む行動をお客様がとるよう、売り手が教育し誘うことを意味します。

店舗商売は特にですが、特定の地域に暮らす、またはそこを訪れる人たちを対象に、限られたコストと手間(時間)をかけ、商売を続けることが求められます。商圏という限られた地域内の人間を相手に、かけられる予算や手間も限られる環境の中で、商売を永続させる為には、対象となるお客様を、出来るだけ効率的にリピーターに変える仕組みを持つ必要があります。

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お店が提供できる商品やサービスには限界がありますので、その範囲内で満足してくれるお客様だけを相手にしないと、売り手は疲弊する上に、満足していたはずのお客様すら逃すことにつながります。簡単な例でいえば、大声で喋り続けるお客様の存在を飲食店で許せば、それを不快に感じる常連は去っていくでしょう。優良顧客の流出を避けたければ、大声を出しているお客様を黙らせる(お客様を教育する)か、お帰り頂いて今後は出入り禁止にする(お客様を選ぶ)しか方法はないわけです。

ドタキャン問題は、国民性の違いを軽視した売り手の怠慢が原因

地域に根ざした商売をしている者にとってのお客様選びの基準は、誰がお金を持っているかではありません。大切なのは商品やサービスに興味を持ってくれた人たちに、売り手が提供出来ることと出来ないことを正しく伝え、その上で満足を得たお客様がリピートされる、という商売の流れに乗ってくれるかどうかです。売り手が自問するなら「誰と長期にわたる良好な関係を築きたいか」という一点が、お客様選びの前提条件となります。

中国人のドタキャン問題は、日本人との国民性の違いによるものだとする識者の意見がほとんどです。ならば、インバウンド特需で中国人予約が増え出した時点で、事業主は対策を織り込むべきでした。国や文化の違う人たちが大量に押し寄せるとわかった時に、その国民性を探ることもせず、外国語の看板や案内だけを用意して受け入れ体制を作り、ホイホイと予約を受け付けた挙句にドタキャンされたのであれば、それは売り手である日本側の怠慢でしかないのです。

中国人観光客と、長期にわたるお付き合いが始まるかどうかは別にして、まずは彼らの立ち居振る舞いによって、既存のリピーターが離れてしまわない為の施策は最低限必要でしょう。ドタキャンを何としてでも減らしたいと言うのであれば、前金制の導入や個人情報の取得を徹底する新ルールも必要になります。こうしたルールは手間が増える為、売り手・買い手共に敬遠しがちですが、それでも利用したいという意思を持つお客様だけがふるい掛けされるので、結果的にはお店の運営に協力的な人たちがお客様として残ります。

同時に、習慣や文化の違いを積極的に発信し、お客様を教育をする作業も必要です。しかし、浸透には長い時間がかかる為、それ単体では改善にまで手は届かないでしょう。日本の習慣や文化への認知を高める教育をしながら、既存のリピーターや売り手自身を保護する為に必要な、新規客候補の選別を並行して行う必要があるでしょう。

お客様がお店を選ぶように、お店はお客様を選ばなければならない

インバウンドが永遠に続かないであろうことは、恐らくその特需にあやかる経営者の誰もが気付いています。と同時に、彼らの多くは特需終了後もお店の経営を続けたいと願っています。であるならば、目先の需要に踊らされるだけでなく、特需終了後も予約で埋まる環境作りを視野に入れて営業を続ける必要があります。

買い手が自由に売り手を選べるように、売り手も自由に買い手を選べます。もしお店がお客様を選ぶことを放棄した結果、お店や既存客に被害が及ぶというのであれば、それは誰のせいでもありません。すべてお客様選びとお客様への適応教育を怠った、売り手自身の責任なのです。

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