コストコのような高額のアルバイト時給を支払えないお店が、優秀な人材を確保する唯一の方法

コストコのような高額のアルバイト時給を支払えないお店が、優秀な人材を確保する唯一の方法

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会員制量販店のコストコは、アルバイトの募集時給を全国一律で1200円以上に設定しています。出店地区によっては地域の最低賃金と500円以上の差がついており、人材の確保を危惧する声も聞かれます。高額時給で求人できない零細商店に求められるリクルーティング、人材対策について解説します。

目次

コストコという『黒船』がもたらす効果

まず、コストコはなぜ全国一律で、しかも高額での求人を行っているのでしょう。

『コストコでは全国どの地域の店舗でも、同じスタート時給となり、一定労働時間ごとに一定額まで自動的に昇給する制度を採っている。そのため基準となる時給は、一番賃金設定が高い首都圏を元にしており、結果としてその他の地域においては、近隣のマーケット水準をはるかに上回るものとなっている
コストコが全国一律時給1200円以上でアルバイトを募集する理由 THE PAGE 2016/01/31』

日本には労働者保護を目的とした最低賃金制度があります。物価等を加味した都道府県ごとの最低賃金が設定されており、一番高い東京都と一番低い都道府県では200円以上の開きがあります。本来賃金は労働に見合った金額を正しく支払うべきものですが、実際に事業所が設定する賃金は業界相場や地域相場を参考にした横並びである場合が多く、最低賃金ギリギリである場合も珍しくありません。

コストコは日本で一番平均時給の高い首都圏の賃金設定を基準に据え、地方出店の際にも同様の条件で人材を募ります。しかも、首都圏でさえ最低賃金に対して300円以上の差があります。極力人件費は低く抑えたいと、最低賃金ギリギリに設定している地方都市にコストコが出店すれば、時給差は実に500円以上にもなります。

アルバイトの確保が必要な店舗経営者には笑えない話でしょうが、この状況には歓迎すべき理由がいくつもあります。単純に就労者の労働単価はアップしますし、労働力の地域外流出防止も期待出来ます。人的な地域振興につながることは間違いないでしょう。

人件費を削って得られる利益と引き換えに、失うチャンスもある事を知ろう

経営者であれば、商品原価を極力下げて利益を増やしたいと考えるように、人件費も出来る限り低く抑えたいと考えると思います。確かに近隣店舗の募集時給を参考にして、横並びで済ませることの金銭的メリットはありますが、時給の高さという、求職者にとって極めて魅力的な条件の封印は、面接希望者数に直接反映されます。面接を希望した人の中からしかアルバイトは選べないのですから、時給に差がないのは単純にお店が提示した雇用条件の中に「働きたいと思う理由」がひとつ少ないわけです。面接希望者は他店に散りますので、そのぶん優秀な人材とめぐり会う確率は減る、という事実は認識しておく必要があります。

コストコは高額の時給を払える財務状況だから払う、ただそれだけです。とても募集時給を上げるような状況ではないというお店については後述するとして、コストコと同額にならないまでも、スタート時給の見直しが出来るのであれば、単純にそれだけで人材の確保は容易になります。もちろん時給を上げただけで優秀な人材だけが集まってくるわけではありませんので、付帯条件の見直しも必要ですが、人材を選べるだけの面接希望者が確保出来るという求人環境にはつながります。

有料の求人媒体を使用しても反応が低い。数少ない応募者たちは高い適性があるように見えないが、人手不足のままだと困るので仕方なく一番マシに見える人を採用する。予想通り適性は低く、長続きしない。また人手不足で求人を出す……。この悪循環に支払われている無駄な募集費や人件費を減らせるのであれば、適性のある人材をエントリーさせる為に使われる募集時給の差額程度は、人的資産構築の為の投資と言ってもいい範囲でしょう。

実際には、どこかの町にコストコが一店出来たからといって、地域全体の時給体系にまで変動があるとは考えられません。大打撃を受けるとすれば、ごく近隣の大型スーパーやファストフードショップなどの、大量の人員が必要となる職種に限定されると思いますが、たとえ数名のアルバイトで事足りる個人商店であったとしても、同様のお店が同一地区に複数集まってるのであれば、その影響は大きいでしょう。近隣他店との横並び時給で、のらりくらりとやり過ごすという従来の方法だけでは、アルバイト応募者の質と量の低下は免れません。

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従業員を選べないという求人環境こそが、お店の質を低下させる

募集時給とアルバイトの関係は、商品価格と顧客の関係に似ています。募集時給を上げる(価格を下げる)と確かに反応は上がりますが、金銭的なメリットだけで彼らをつなぎ止める為には、競合に負けない金額の提示をし続けることが求められます。金額勝負の勝敗は資本力の有無で決まってしまいますので、簡単にアルバイトの時給をアップ出来ない懐事情のお店や事業所こそ、お金以外のメリットや仕事の魅力を押し出す必要があります。

また、たとえば適性のある人材3名を求人するとして、面接する2人に1人に適性があるのなら、6人集めれば人手不足は解消されます。ところが10人に面接して1人しか適性ある人材が現れないのであれば、30人集めなければ人手不足は解消されません。これは、より適性の高い人材だけが反応する条件を募集時に提示出来ないと、時間とコストの無駄が増えるばかりか、営業の質にすら影響を及ぼすことを意味します。

求人は、優秀で適性のある人材を必要な数だけ採用することが目的です。応募が少ないと選択肢がなくなり、適性に欠けている人材を妥協して採用する可能性もあります。逆にどれだけ多くの応募があったとしても、集まるのが適性の低い人たちばかりなら結果は同じです。求人や人材育成にコストをかけられないお店こそ「面接に誰を集めるか」が、後の経営に大きく影響すると言えます。

高い時給でアルバイトを採用出来なくても、それに代わる武器はある

求人で適性の高い人材のエントリーを得る為に必要なルールは、とにかく「書くべきことを隠さずにすべて書く」という一言に尽きます。たとえば、給与や待遇に引け目を感じているお店は、金額や条件を明示せずに「委細面談の上」などと書く傾向がありますが、ネガティブな要因をごまかしてる胡散臭さがプンプンしますので、わざわざ面接に出向いて詳細を確認したがるモノ好きはごく少数です。せっかく採用した人材には長く勤めてもらいたいと望んでいるのであれば、彼らが後で「こんなはずじゃなかったのに」と感じる要因を徹底的につぶすことが最優先課題です。

隠さず正確に表現するのはネガティブな要因だけではありません。アルバイトを探す人間が職場に求めるモノは、だいたい「お金、勤務時間帯や通勤環境、職場の環境・人間関係、その業種に就くことへの執着、やりがい」のどれかに該当しますが、求人媒体にこれらを正しく表記している事業所は案外少ないものです。どんな些細な事でもいいので、同業種他店のコピペみたいな紋切り型の表現ではない、求人の「そのお店独自のウリ」となる項目がないか精査しましょう。

応募者欲しさにハードルを極端に下げて表現するのもやめましょう。たとえば大量の人手が必要な業種や、人手に窮した事業所の求人には「誰にでも出来る簡単なお仕事です!」という類の表現が使われます。確かに反応は上がりますが、増える面接希望者の多くは「誰にでも出来る簡単なお仕事しか出来ない人・する気のない人」です。面接の時間が無駄になるのでおススメしません。逆に仕事の厳しさや、それを通じて得られる楽しさなどを表記したほうが、面接希望者の質ははるかに高くなります。

求職者にとっての金銭待遇は確かに重要な判断基準になりますが、それだけが唯一の判断基準になる程、各々が仕事に求めているものはシンプルではありません。商品が口コミで広がるように労働環境や働きやすさが広まり、決して高い時給を支払っているわけでもないのに面接希望者が後を絶たないお店も数多く存在します。求人を考える前に、何が従業員の魅力となっていて何が従業員を遠ざけているのかという、お店の棚卸しをしてみることをおススメします。

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