「つかみ」はオッケー

どもっ!商売力養成コンサルタントの福谷です。

前回、何よりもお客様があなたに対して無関心でいるという状況こそが最悪なんだという話をしました。

お客様の感情に訴えかける、あなたの作った販促物を見た瞬間から平常心でいられなくなるような、インパクトがありキャッチーな「つかみ」で、強烈にあなたの存在をアピールすることが必要ですが、最初に印象を強く残して欲しいと願う理由にはもう一つあります。

それは「人間は、自分が直面している問題以外の情報に全く興味を持てない」という事です。

例えばあなたが、仕事でも趣味でもたまたま昨日見たテレビで耳にした言葉でもいいのですが、何か気になったキーワードに出会ったとしましょう。

その言葉に興味を持って情報のアンテナを心に張ってみると、雑誌や新聞など、今まで気付かなかっただけで、意外と身近なところにその言葉に関する情報が落ちているんだなぁ、と感じるはずです。

もう少し具体的な例にしましょう。

あなたには今、気になる異性がいます。

そしてあなたの好きな異性は、どうやらソウルミュージックが好きらしいという事を知ります。

「ソウルってどんな音楽なん?」

今まで洋楽どころか音楽自体にあまり興味が無かったあなたですが、気になるあの人が好きな音楽という事で俄然興味が出てきます。

あなたは自分でCD売り場に足を運んだり、インターネットでソウルに関する情報を集め始めます。

ぼんやりとBSの番組表などに目を通していると、偶然にもソウルの特番に出くわしたり、以前流れていたCMの音楽がソウルでは有名なスタンダードナンバーだという事が判ったりもします。

さてこの例の場合、CD売り場に行ったり、インターネットで情報を集めるという行為は、あなたが自発的に足を運んだり検索を行ったりしています。

要するにあなた自身が能動的に情報を収集したわけです。

それに対して、BSでソウルの番組をやるという情報や、CMでソウルナンバーが流れていたというのは、別にあなたの努力でも何でもありません。

あなたがソウルに興味を持った事を知ったNHK-BSスタッフの「粋な計らい」で番組が編成されたわけではもちろんありません(笑)

あなたがソウルに興味を持つ前からNHK-BSでは時々ソウルの特集番組をしていますし、ソウルナンバーを使ったCMも数多くあります。

単にそれまであなたがソウルミュージックに興味を持っていなかったので、目の前を流れる情報に気付かなかっただけなのです。

ソウルミュージックというキーワードに関心を持って生活を始めたので、今まで素通りしていたソウル関連情報に心がヒットしたり、過去のCM曲を思い出し、それがソウルの名曲だという事に気付いたのです。

このように、人間は必要になったり関心を持ってから、初めてその情報を抽出するアンテナとフィルターを五感に装着するんです。

だから、その商品への興味を持っていない人の前で声高に魅力を語っても、関心を示してもらえる可能性は低いという事です。

フェラーリを買いたいと思ってる人に耕運機の営業をしても売れません。

しかし、もしその人がいつか仕事をリタイヤして畑でもしたいと思っていたら、二年後はフェラーリより耕運機を欲しくなっているかもしれません。

ただその時に、二年前に渡された耕運機会社の名刺がごく普通のモノだったら、恐らく名刺を貰った記憶すら残ってないでしょう。

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もし二年後の、相手が畑仕事に興味を持つというタイミングを奇跡的に知って、もう一度営業を掛ければ話は別ですが、そんな事は起こり得ませんし、もしそんな事が出来る才能があるんなら「お願いだからもっと有益な事に使ってくれ」と私なら思います(笑)

特殊能力の無い私達商売人がこの場合に出来るのは、頭の片隅でもいいので、二年前に渡した名刺の事を覚えてもらえるようにする事、それ以外にありません。

渡した名刺が相手に「強烈な」インパクトを与えていたとしたら、「そういえば昔、なんか変な名刺を貰ってたよなぁ・・」という可能性が充分にあります。

そうなんです、たとえ一回限り、初対面だったとしても、そこで相手に充分な強さの印象を与えていると、あなたの事やあなたの商品が、強く、長く、相手の記憶に残り、結果として広告効果が長くなるんです。

相手がその商品を欲しいと感じるタイミングで偶然に営業をかけるという神業や、今は欲しくないと思っているハズの相手に無理矢理欲しいと錯覚させるような洗脳紛いの営業スタイルを採らなくても、お客があなたの商品を欲しくなったときに勝手に思い出してくれる可能性がグンと高まります。

情報過多の時代と言われて久しいですが、その言葉通り、情報は日頃から無数に我々の周りを飛び交っています。

しかし、不思議とそれを実感する機会は多くありません。

何かの問題に直面し、何かのアクションを採る必要に迫られた時に、偶然必要な情報が自分耳に入ってくるという感覚、実は錯覚なのです。

普段から情報は無数に飛び交っていますが、その情報が必要になってアンテナを伸ばしてから初めて情報の存在を意識するというだけです。

奇跡でも無けりゃ引き寄せの法則でも無く「錯覚」、平たく言えば「気のせい」です(笑)

あなたが発信する情報に反応してもらうには、その情報を今まさに必要としている人に対してジャストタイミングで提示するか、「確かそういう情報があったな」と思い出してもらう、この2種類しかないんです。

お客様があなたの商品を必要だと感じていても、詳しく聞いてみるとその時点では購入を決断するほど心が成熟していない、見込み客止まりだったとします。

あなたの商品に関心や潜在的なニーズはあるけど、今すぐに必要だと判断されなかった場合、あなたに必要なスキルは以下の二点になります。

・今後あなたの提供する商品が必要となった時に、あなたを思い出してもらえる事

・その時の為に、あなたの情報を記憶させる事、または保存させる事

他の人とは違うという「あなた」を強く印象付け、その記憶を長期保存してもらう。

商売人にとって「相手の心に残る」というのは、それほどまでに大事な要素なんですね。

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